23 / 癖 ページ24
side N
「……………初めて来る、」
「うん、俺も。相葉くんが前々から来たかったんだってよ？」
リーダーが予約してくれた店に着いて、
ポツリとそう零す翔ちゃんにそう答える。
でも、それは全くの嘘。
俺らがいつも行く範囲の店じゃない。
相葉くんが来たかったわけでもない。
ただ、なるべく翔ちゃんと潤くんの思い出に引っ掛からないように。
少し遠くのところにしようと、3人で話した。
潤くんの好物でもなく、
潤くんが来そうなオシャレなところでもなく。
ただひたすら、潤くんに関連することを避けた。
「個室で店員さんとも顔合わさなくて良いみたいだから、大丈夫だからね」
「……ありがと、ごめんね？」
「そういうときは、ありがとう、だけでいいの」
「……ありがとう、智くん」
「ふふ、どういたしまして」
予約番号を機械に入れれば、部屋の番号を教えてくれるタイプのお店らしく
先に部屋の番号を取ってきてくれたリーダーが、駐車場に戻ってきた。
翔ちゃんを、なるべく人と会わせたくない。
それが彼にとって最善だから。
「じゃあ行こっか、」
「腹減ったなぁ」
「相葉ちゃん収録で食べたんじゃないの？」
「食べた、けど腹減った」
「どんな胃してるの」
「ふふ、俺も腹減った」
「だよねー翔ちゃん！」
この2年、月に1回しか外に出てこなかった翔ちゃんは
上手く体に力が入らないみたいだから
彼の右手を絡めて支えながら歩く。
左手には触れないのが、俺らの暗黙のルール。
左手の薬指にはめられた、2つの指輪。
それに誰かが触れるのを、翔ちゃんは酷く嫌う。
それが例え俺らだったとしても。
一度触れてしまったらしい相葉くんが言ってた。
「すごい勢いで振り払われた」……って。
月明かりに照らされたその2つの指輪が
キラリと光る。
俺らが、すぐ立ち直れたわけじゃない。
でも、一瞬にして壊れてしまった彼を
一瞬にして、闇に籠ってしまった彼を見て
俺らが支えなきゃいけない、と
俺らがしっかりしなきゃいけない、と
自然と、そう思った。
どうしたって、
彼の中から潤くんは消えないから。
きっと、彼が闇から完璧に脱出することはないから。
いつだって不意に、
指輪をぎゅっと握る彼の癖が無くなることは、
もうきっと、無いから。
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櫻宮 - なんか変ですよね？ずっと生きていたいって言ってた人が自殺なんかしますかね？続き楽しみです！ (2020年4月29日 15時) (
レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 櫻宮さん» すみません今気づきました、、！いろいろな考察嬉しいです(*^^*)ここからどうなるのか、彼の真相が分かるまでお付き合い下さい´`*！ (2020年4月20日 0時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 潤くんが自殺…ということは？自ら凭れただけで壊れてしまうような歩道橋を選んだということですよね？でも彼の家の近くの歩道橋…？あーもう！よく分からん！早く続きが読みたい！！ (2020年4月9日 17時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - ふらんどーる@潤くんは天使 さん» いつもありがとうございます´`*！ぜひ次回もお楽しみにしてて下さい(*^^*) (2020年4月8日 19時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんどーる@潤くんは天使 - じ、じさつ...それは予想してませんでした！続きが気になります...！ (2020年4月8日 18時) (レス) id: 8e46670866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi-
| 作成日時：2020年2月19日 18時
