#79 雅紀 ページ44
『ご検討下さい。ただ、時間はあまりありません。』
そう先生に言われてから、無言で部屋に戻った俺ら。
部屋では、潤ちゃんの寝息が聞こえてくるほど静かで。
その空気を打ち破ったのはにのだった。
和也「…どうする」
翔「潤に聞くしかないだろ…」
智「じゃあ、潤ちゃんが手術するって言ったらわかったって言えるの？」
翔「それは…っ」
リーダーの言う通りだった。
" 潤ちゃんの気持ちが最優先 "
これが一番大切なこと。
でも、生死を分けることとなると、俺らも簡単には了承できない。
彼だけの問題じゃない。
運命共同体でもある俺らは、1人の命も、5人の命であるのと同じだ。
もし…もし、1つの命が消えてしまったら。
「…俺ら、壊れるね」
主語も何もない俺の急な言葉に誰も聞き返さなかったのは、みんな同じ想いだからだろう。
和也「1回だけ、潤くんの気持ちを優先しなかったことがあるんだ」
翔「え？」
和也「入院を決めるとき。潤くんは、倒れるまで仕事するって言ってた。俺も最初はその潤くんの気持ちを優先してた」
智「なら、どうして…？」
和也「…死ぬかもしれなかったから」
「死ぬ…？」
和也「倒れるまで仕事してたら、死ぬかもしれないってことを潤くんは俺に言えずにいたんだ｣
翔「…それほど、仕事したかったんだな」
和也｢でも、潤くんはそれでも倒れるまで仕事するつもりだった。そのことを知ったら俺…優先できなくてさ。無理に、入院を決めた｣
そこで、少し震えるにのの手。
潤ちゃんの気持ちを優先してあげたい。
だけど、潤ちゃんを守るにはそれを振り切らなければならない。
間違ったことじゃないのに、間違ったことをしてるかもしれないと不安になるんだ。
でも、にの。
にののその判断のおかげで、潤ちゃんを守れたんだよ。
和也｢直後は嘆いてたけど、家に帰ったら、自分から入院するって言ってくれたよ」
そこで、ずっと俯いて話してたにのが顔を上げた。
和也「伝えよう。潤くんに。俺らの気持ち、ちゃんと伝えよう。それをふまえての潤くんの気持ちなら、優先できるでしょ？」
そう微笑みながら言った彼は、とても心強くて。
透き通った目をしていた。
「そうだね！」
翔「それが一番だな」
智「それならみんなの意見を合わせた結果だもんね」
.
.
.
.
──────…大丈夫、大丈夫だ。
そう自分に言い聞かせて。
俺らは、暗闇の中の小さな小さな光に
必死になって手を伸ばしてた。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - すいすいさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます！続きもありますので、よければぜひ´`* (2021年8月6日 17時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
すいすい - 気づいたらめっちゃ泣いていました。潤くんはきっと、5人で楽しく過ごしていると思います。 (2021年8月6日 15時) (レス) id: fd76ce1517 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - アラシックスティさん» ありがとうございます( ; ; )続きもあるので、よければぜひ…´`* (2021年4月29日 7時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
アラシックスティ - すごーく良かったです！！また読みたいと思うような物でした。 (2021年4月29日 6時) (レス) id: 419204c463 (このIDを非表示/違反報告)
つ む ぐ ＿＿ 。∴亀更新∴(プロフ) - 愛の釣り人さん» 遅くなりすみません！！今気づきました…(；＿；)ありがたいお言葉すごく嬉しいです。書いてよかったとすごく思いました！今書いている作品も気に入っていただけるよう頑張りますのでよろしくお願いします^^ (2017年10月23日 18時) (レス) id: cfd42291d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つ む ぐ ＿＿ 。((元じーゅん
| 作成日時：2016年9月5日 0時
