87 / Do you enjoy now? ページ40
side O
「…………答えろ。なんで翔くんだった？」
距離を置くことなく、
そのままの距離でそれを尋ねる。
「意味なんてない。
……誰でもよかったんだよ。
……おまえらが苦しむなら、誰でもよかった」
表情ひとつ変えず、
俺の瞳をちゃんと捉えてそう放った彼に
何故か、怒りが引き潮のように治まっていく。
グンッ、と
用無しの物のように彼の胸ぐらを捨て
よろけた彼を乱暴に押し倒す。
床に打ち付けられた彼の背中。
地響きするほどだから、きっと強い痛みが走ってる。
痛めばいい。
苦しめばいい。
何より大切にしてきた俺らとの絆を捨てるなら
それくらい当たり前に受ければいい。
「……………憎いでしょ。
死ぬほど憎いでしょ？俺のこと。
……………んは、いいね、その恨むような顔」
それでも、
痛みなんて微塵も見せない目の前の彼。
嗚呼、せっかく引いたのに。
一度引いた潮が、
また、満ちてくる。
「………っふ、んははッ、」
何故、ここまで俺らを憎んでるのか。
何故俺らを苦しめたかったか。
おまえが、俺らにどんな気持ちを抱いているか。
そんな、隠されたものなんて
この際、どうでもいい。
理由なんてもう、どうでもいい。
.
“ 目の前のコイツが、居なくなってくれれば “
.
そう思うのは、
俺だけじゃないようで。
「……………っおい、大野…ッ！！」
想いのままに、後ろポケットから銃を出すと
林がこれでもかと目を見開き、
響き渡る声で俺の名を呼ぶ。
「………は、え、おい、松本…ッ、！！」
それでも、
それだけでは終わらなくて。
次に潤の名前が響いたのは
彼も、ポケットから銃を出したから。
「んは、約束だもんね？」
「死ぬときは一緒に、ってね」
「おい……ッ！！！」
「ちょっと…っ、智、潤…ッ！！！」
嗚呼、
ほら、
面白い。
.
.
.
空気を、
寒気を、
想いを。
.
引き裂くように、重く鳴り響いた銃声。
.
.
.
嗚呼、
ほら、
面白い。
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ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - riroさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです´`*！頑張ります´`* (2020年1月15日 19時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
riro - ハラハラの展開！ 早くみたいーw 更新頑張って下さい！ (2020年1月15日 18時) (レス) id: 4e0d2c6273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)
| 作成日時：2019年12月11日 11時
