83 / 不 動 時 計 ページ36
side N
ロッキングチェアにユリ子さんが座り
その隣のテーブルの椅子に林が座る。
その様子を見て、俺ら5人は座らず
テーブルに体重をかけるだけだった。
無意識な行動も似てしまう。
家族よりも一緒に居た人たちだから。
……………それが歪んだのは、いつからだろう。
─────────…なんて。
「それで…、…松本さん、どうするんですか？」
「そりゃあまずは翔くんでしょ。
なんで筆跡が合うの、っつー話だよ」
翔ちゃんに目もくれずそう放った潤くんに
重い溜め息を堕とす翔ちゃん。
「だから知らねぇ、っつってんだろーが」
「筆跡合うのに？」
「証拠消したの和なんだから、コイツが俺の筆跡が出るようにでもしたんじゃねーの？」
突然出てきた自分の名前に驚いて彼を見ると
黒く染った瞳に捉えられた。
「は？ふざけないでよ、そんな高度なこと出来るわけないでしょ。
出来る奴なんてまーくんくらいじゃない？」
「は、意味わかんねぇよ、なんで俺なの」
「雅紀、おまえも潤に頼まれたこと以外になんか手回してんじゃねぇの」
翔ちゃんの放った言葉に
見たことも無いような瞳で睨むまーくん。
それに怯むことなく、目を逸らさない翔ちゃん。
埒が明かない。
壁に掛けられた時計は壊れていて、秒針が先に進めず
同じところでカチカチと前後運動を繰り返してる。
俺らもこんなふうに
同じところを彷徨い続けているのだろうか。
「………林は何かないの、他の情報」
話を進めようと彼に問う。
コイツなら、何か隠してそうだから。
「さっき言ったことだけですよ。
でも……俺じゃない人が、ひとつ、隠してますよ」
その言葉に、
無意識に自分の顔が歪むのが分かる。
唐突に顔を上げたのは俺だけじゃないようで
隣の4人も同じだった。
誰だ、と尋ねるように林を見ると
何処からか入ってきた風が運んだ彼の視線の先には
さっきから、一言も発さないさとくん。
「…………そういや、智くんだけ何もないよね」
落とされた翔ちゃんの言葉に
4つの視線が、彼に集まる。
一番に彼が容疑者になったのに
本当に疑われるようなことは何もない。
それは、本当に濡れ衣だからなのか
それとも、
彼が、全てを操っているからなのか───────
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ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - riroさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです´`*！頑張ります´`* (2020年1月15日 19時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
riro - ハラハラの展開！ 早くみたいーw 更新頑張って下さい！ (2020年1月15日 18時) (レス) id: 4e0d2c6273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)
| 作成日時：2019年12月11日 11時
