82 / 大事な人 ページ35
side A
潤の親父さんの別荘に着き
ガチャ、と
無機質な音を立てて開いた扉。
その先には誰もいなくて。
リビングにあったロッキングチェアに腰を掛ける。
相変わらずデカい別荘だなぁと見渡していると
再び鳴り響く扉の音。
「……あれ、なに、3人一緒？」
「まさか。そこで出くわしたんだよ」
揃って入ってきた翔ちゃんと和と智くんにそう告げると
ダルそうに答えてくれた翔ちゃん。
“ 真犯人 “
頭に浮かぶ、その言葉。
「………その目やめろって、」
じっと見てしまっていたようで、
苛立った声でそう言われた。
……………自分だって俺を疑ったくせに。
「…早いですね、みなさん」
「お、林」
そんなとこに続いてやってきたのは、
愉快な表情をした林。
彼の愉しそうな表情が、
俺の心を黒く染めていく。
「………あとは呼んだ張本人か」
「まぁ潤くんのことだからねぇ、ちょっと遅れるでしょ」
そんな翔ちゃんと和の会話に
林が、チラリと2人を見る。
あーあ、止めてよもう。
林の心境が変わったらどうすんの。
「おまたせしました〜」
「あ、潤……って、ユリ子さん？」
「聞いてもらってた方がいいっしょ？
……大事な人なんだから」
俺らに背中を向けて扉を閉める潤の表情は見えないけれど
心なしか、声が弾んでいる気がした。
潤はきっと
真犯人は翔ちゃんだと信じきっている。
それをどうやって認めさせるんだろう。
「あ、ユリ子さんここ座ったら？」
「ありがとう、」
ユリ子さんに椅子を譲ると、
戸惑いながらも腰を掛け、
なるべく存在感を消そうとする彼女。
“ 大事な人 “
そうだね。
合ってる。
俺らにとって、
何よりも大事な人。
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ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - riroさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです´`*！頑張ります´`* (2020年1月15日 19時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
riro - ハラハラの展開！ 早くみたいーw 更新頑張って下さい！ (2020年1月15日 18時) (レス) id: 4e0d2c6273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)
| 作成日時：2019年12月11日 11時
