81 / I can notice, and you? ページ34
side J
「……………はぁ、」
Barに響く、重苦しい自分の溜め息に
情けなくなる。
自ら真実を炙りだそうと提案したけれど
一分一秒、時間が進む度
心臓を鷲掴みにされたような感覚に陥る。
怖い、なんて
情けない。
「……………っし、完成…っと
………ユリ子さんち、向かうか」
シェイカーの音を鳴り止ませたBarは
息が詰まるような静寂で。
ついさっきの光景が蘇る。
「……………っ、車のカギどこやったっけ、」
思い出すなと自分に念じながら、違うことを考えてみるけれど
そんなの、効果はないらしく。
脳が痺れた。
5人それぞれが、
5人それぞれを疑う空間。
疑いの言葉を発しなかったさとくんも
きっと、疑ってる。
目でわかった。
分かってしまうんだ。
どんな状況であれ、
ずっと、一緒に生きてきた運命共同体だから。
分かってしまう。
そのときに、
何を考えているか。
「はーい…、…あら、潤？」
「ごめんね急に。これ、飲んでほしくて」
「あら、カクテル？新しいやつ？」
「そう。XYZっていうの」
「へぇ、また興味をそそる名前ね」
そう言いながら、部屋へ入るように促される。
時間まではまだ少しあるから大丈夫だと確認し、
おじゃまします、と足を踏み入れた。
「ん、美味しいじゃない」
「ほんと？よかった」
夕飯はどうしたのかと聞かれ、済ましてきたと嘘をついた。
じゃあさっそく頂くわ、と乗り気で飲んでくれたユリ子さんは
優しく微笑みながら、美味しいと言ってくれて。
それから少し世間話をしてから
そろそろだなぁ、なんて思った頃。
「……で、何か話があったんじゃないの？」
んは、さすが。
よく分かってるね、ユリ子さん。
「ん。……真犯人を炙りだしに行くの。
あの林って奴も含めて。
……それに、着いてきて欲しいんだよね、ユリ子さんも」
“ 俺らの中に居るかもしれない “
そう言ってるのと同じ。
裏切り者が居る、と
言ってるのと同じ。
「………分かったわ、潤がそう言うなら」
「ありがとう。……そろそろだから、出れる？」
「ん、準備するわね」
分かってたよ。
ユリ子さんが、何も聞かずに頷いてくれること。
分かってた。
んは、それも、分かっちゃうんだよ。
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ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - riroさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです´`*！頑張ります´`* (2020年1月15日 19時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
riro - ハラハラの展開！ 早くみたいーw 更新頑張って下さい！ (2020年1月15日 18時) (レス) id: 4e0d2c6273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)
| 作成日時：2019年12月11日 11時
