77 / ほら。 ページ29
side O
「…座れば？」
追い返すことなく、
逆にそう言った潤に従い
3人と2人に別れて座っていたソファの片方を、林に開け渡した。
開け渡した方に座っていた翔くんと俺と和は、
潤と雅紀が座っているソファに割り込む気にはなれなくて
2人が座るソファの後ろに立った。
「……この前書いて頂いたローマ字の名前。
あれが、一番の手掛かりになりました」
そっと言葉を落とした林に
抗わず、耳を傾ける。
「5つの現場にあった、5つの証拠。
それは、貴方達5人のイニシャル。
しかしそれは、全て英語表記のローマ字でした。
日本人なら、日本語表記でローマ字を書いてしまうことが多い。
それに気付いて、皆さんに書いて頂いたんです」
“ その5つのメモが、ここにあります “
そう言って、間にあるテーブルにメモを5枚並べた。
開かれたそれに、5人で目を通すと
4つの視線が注がれた先に居るのは───────
.
.
「………翔くん、」
.
.
ポロ、と零れた俺の言葉はもう拾えなくて
虚しく、空気中に散っていく。
「…………は、まてよ、
……………これだけで？
これだけで俺、真犯人………っ、」
戸惑いで揺らぐ翔くんの瞳と
その彼を見つめる4つの瞳。
「…んだよ、その目……、」
いつの日か、信じきっていたときの瞳は
何処へ失ってしまったのか。
「もちろん、これだけじゃありません。
僕が大野さんと松本さんにビル前で会ったとき、櫻井さんもあのビルに居ましたよね？
翌日僕が向かったら貴方の持ち物が落ちていたので、それは分かってるんです。
でも貴方は、出てこなかった。
……その翌日にそのビルへ向かったとき、証拠が無かったんです。
大野さんと僕が会ってしまったのに、僕の前に姿を表さなかったのは
その間に、証拠を消していたからなんじゃないですか？」
翔ちゃん、と
悲しく呟かれた雅紀の言葉。
「それに、わざわざ真夜中にビルに向かったのも変ですよね。
5年前の事件の現場に、未だ警察が張ってるわけがない。
人に見られない真夜中じゃないといけない理由、それが証拠を消すことじゃないんですか」
それがきっかけになったかのように
翔くんは、大きく溜め息を零して
髪をかきあげた。
そして、
その手が向かったのは
目の前に居た潤の、胸元。
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ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - riroさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです´`*！頑張ります´`* (2020年1月15日 19時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
riro - ハラハラの展開！ 早くみたいーw 更新頑張って下さい！ (2020年1月15日 18時) (レス) id: 4e0d2c6273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)
| 作成日時：2019年12月11日 11時
