73 / 堕天使 ページ25
side Hayashi
とある駐車場の地下。
あの5人を追跡して突き止めた、Bar。
その入口の取っ手に手を掛け
一か八かで引くと、
カラン、と軽快な音を立てて開いた。
「思ったより遅かったね」
引き込まれた先から降ってきたのは、
もう既に聴き慣れた声。
「…………松本さん…、」
読まれてる。
5人に名前を書かせた翌々日にBarに足を運ぶと
俺の行動が、この人には読まれてる。
それでも、ここで怯むわけにはいかない。
真犯人の目星がついた今、
最前列で4人を守ろうとしているこの人に
会っておく義務があると思うから。
「……お待たせしてしまいましたか？」
「んは、…今日は頷いとくわ」
この前座った席に座る。
カウンター内に居る松本潤とは、
一切視線は絡まない。
「あれが、何よりの手掛かりだった？」
「え、」
「おまえが来たんだろ、ローマ字書かせに」
幾度となく怯んできた相手に立ち向かうのは、
どうも緊張する。
そのせいで、どう切り出そうか考えていると
突然降ってきた声に、すぐに対応出来なかった。
「…はい、そうです。確証高い目星はつきました」
「へぇ、そう」
「…聞かないんですか？犯人は誰だ、って」
「聞いて欲しい？
せっかくおまえの計画を尊重してやろうと思ってるのに」
「………そこまで分かってるんですね」
犯人の目星がついた、と
報告するために5人に会いに行こうとしてることも
この人には、お見通しだ。
ふっと、突然重ねられた瞳から
俺は、逃げることが出来ない。
「おまえのふざけたシナリオのゴールを、楽しみにしてるよ」
逃がさないというように捕らわれた瞳。
全てを見透かしたような言葉。
彼は、何を以て余裕としてるのか。
「せっかくだからなんか作ってあげるよ」
言葉が出てこない俺を嘲笑うように
満足気に笑みを浮かべたあと
そう言いながら背を向けて、グラスを2つ用意してカクテルを作り始めた。
瞳から解放され、
ふぅ、とひとつ落ちてしまった溜め息は
緊張か、はたまた安心か。
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ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - riroさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです´`*！頑張ります´`* (2020年1月15日 19時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
riro - ハラハラの展開！ 早くみたいーw 更新頑張って下さい！ (2020年1月15日 18時) (レス) id: 4e0d2c6273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)
| 作成日時：2019年12月11日 11時
