63 / start of crash ページ15
side A
「…………その人が書いたメモがあればいいでしょ？」
零れ落としたそれを拾おうとはもちろんせず、
違う言葉を投げかけてくる彼に
抗わずに従おうと思い、
そのメモをくれと、手を差し出す。
携帯を取り出したのとは逆のポケットから
折り畳まれたメモを取り出し
そっと、俺の手に置かれたそれは
さっきまで握っていたのか、
まだ熱が残っていた。
「……………見るよ？」
「……ん、」
わざわざ聞かなくたっていいのに
そんなことを聞いたのは、
俺の心の奥に疼く、足が竦むような恐怖を
何処かへ飛んでいかせるため。
俺がメモを開いた途端、
スッと逸らされた彼の瞳のその意味は
すぐに理解した。
……いや、
すぐじゃない。
俺の視界に映った字が
一瞬、時を止めた。
「………………………これ……っ、」
自分の目を疑うなんて選択肢は無かった。
自信しかなかった。
昔から見続けてきたこの字を、俺が見間違えるわけがなかったから。
バッと見上げた時に、
きちんと捉えたはずの彼の瞳は
俯いた彼のせいで、何処かへ失った。
「………………なんで？
………………なんで、翔ちゃんなんだよ……」
何も言わない、その彼の態度が
余計に、現実味を帯びさせる。
俺らを纏う、淀んだ空気が
俺の首を絞めているみたいに、息苦しい。
「……………なぁ。
………………潤───────」
疑えなかった。
この件で、翔ちゃんと共に行動していた彼の思考を
疑う根拠なんて、浮かばなかった。
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ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - riroさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです´`*！頑張ります´`* (2020年1月15日 19時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
riro - ハラハラの展開！ 早くみたいーw 更新頑張って下さい！ (2020年1月15日 18時) (レス) id: 4e0d2c6273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)
| 作成日時：2019年12月11日 11時
