51 / 人生の名前 ページ2
side S
「あ、そうだ、昼に智くんから連絡来たよ」
現場のビルに着き、
車を降りてから思い出したことを口にした。
「林、来たって？」
「うん、ビル入ってったみたい」
「じゃあ明日の昼はここだろうね」
「うん。じゃあ行ってくる、待ってて」
「はーい、よろしく」
また昨夜みたいに、林がまた、下見で来るかもしれないから
潤と決めたとおり、彼にはビルの前で待っててもらう。
彼に背を向け、
また、立入禁止の黄色いテープをくぐり
屋上へ足を進める。
コンクリート造りの塀を辿っていくと、
やっぱりそこに、俺のイニシャルの
“ S.S “
が彫られてある。
「………やっぱり」
真犯人は、
5つ全ての現場に、俺らのイニシャルを残した。
誰だ？
一体誰なんだ。
俺たちを、どうしても嵌めたい奴。
「………あ、写真」
自分から提案したくせに、写真撮るのを忘れてて
預かってきた潤の携帯を手に取り、
そのイニシャルを写真に収める。
静寂と闇に包まれた屋上で
カシャ、と虚しく響くその音は
見知らぬ誰かに嵌められた俺らを、更に虚しくさせる。
地上から上ってきた煙が、目の前を霞ませる。
きっと、潤の暇潰しの煙草だろう。
「……口が寂しくなるだろうが」
その煙は、俺の体内に喫煙の欲を生ませて。
ポケットから煙草とライターを取り出し、
徐に火を点ける。
「………よし、」
嵌めたい、なんて
そんなこと思わなくたって
俺らは既に、
決して抜けられない、真っ黒い
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ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - riroさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてめちゃくちゃ嬉しいです´`*！頑張ります´`* (2020年1月15日 19時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
riro - ハラハラの展開！ 早くみたいーw 更新頑張って下さい！ (2020年1月15日 18時) (レス) id: 4e0d2c6273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)
| 作成日時：2019年12月11日 11時
