乞ウモリ (ページ15)

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beg.14 / illusion －A ページ15

「……ごめんなさい」

「言葉より態度で示せよ、ほんとダメだよ、最近のおまえ」

「ちょっと…そんな言わなくたって」

楽屋に戻る途中の廊下で、
松潤を責める翔ちゃんを止めると、
3人から、はぁ？みたいな顔で見られた。

「いいんだよ相葉くん…俺が悪いから」

俯いたまま、俺にそう言う松潤は
どこか、憔悴してる様子だ。

“二日酔い”

頭にそれが浮かぶ。
どうして、俺に見え透いた嘘を付いたのだろう。

寝坊、って言えなかったから？
俺なら黙っててくれるだろう、って思ったから？

でも、それなら。

少し空いた時間の時に、俺に言うはずだ。

黙っててくれてありがとう、とか。

あるはずでしょ。

「……ちょっと、楽屋で話そう」

みんな次の仕事が無いことを確認して、
リーダーがそう言った。

楽屋に入り、扉を閉めて
俺ら4人がソファに座る中、

松潤は、扉の傍に立ったままだった。

俯いて、顔を上げない。

「…松潤？おいでよ。座りな？」

「いいじゃん、反省してんじゃない？」

昨夜の様子も合わせて、何かあったのかな、と思う俺は、彼に情けをかけるけれど

みんなは、やっぱり冷たい。

ニノが、松潤に目をやらないままそう言い放った。

「ねぇ。いい加減さ、子供みたいに俯いたままなのやめなよ。顔上げろって」

痺れを切らしたリーダーがそう言うと、
松潤がそっと顔を上げた。

すると、その瞬間

彼は、頭を抱えるようにしゃがみこんだ。

「ちょっ、松潤…っ？」

「………っ、ごめ、…大丈夫」

駆け寄った俺にそう言いながら
自力で立ち上がった彼は

どこか目を伏せた様子のまま、ソファに座った。

「相葉くんも、戻って？」

消えない彼への違和感。

ソファに戻った彼を見つめていると、
翔ちゃんにそう言われて。

その時に、俺の方へ振り返った松潤が
弱々しく微笑んだ。

“ごめんね”

まるでそう言うように。

けれど俺にはそれが、昨夜の彼の微笑みと重なって。

やっぱり、違うんだ。

昨夜の彼の微笑みは、
いつもの彼の微笑みでは無くて。

“ 似ていた ”

この表現が、一番しっくりくるんだ。