87 / 渦巻く噂と心 ページ46
side S
「ごめん斗真、お待たせ」
斗真「あ、お疲れ様〜、いいよいいよ」
和也「ごめんね、結構待った？」
斗真「ううん、大丈夫」
集合場所の店に着き、店員さんに通された個室には
斗真が既に飲みながら待ってた。
飲み物を尋ねてくる店員さんに、
俺とニノはウーロン茶を頼んだ。
斗真「え、2人飲まないの？」
「え？あぁ…そういやそうだね」
和也「酒飲む習慣が無くなってるね( 笑 )
潤くんになんかあったら飛んでかなきゃと思ったら飲まないからね」
「そうだね、」
斗真「自然と禁酒出来てるじゃん( 笑 )」
そう笑う斗真に、潤のおかげだ、と笑って返した。
メニューから適当に頼み、
斗真のツマミになりそうなものも頼んだ。
斗真に近況を尋ねると
仕事の様子とかプライベートとかを話してくれて。
斗真「それで、2人は…、潤のことだよね？」
自分の話が終わると、斗真から潤の話を出してくれた。
斗真には話があるとしか言ってなかったけれど
検討はついていたんだろう。
「うん、そうなの。
まぁ単刀直入に言うと…お願いがあるんだよね」
斗真「お願い？」
和也「うん。
まだ誰にも話してないから内密にして欲しいんだけど、潤くんリハビリが凄い順調なの。
それで今、復帰する時のことをいろいろ考えてる。
でも…問題があるの」
そんなニノの言葉に、不思議な顔をする彼。
「……潤、人が怖いの」
その瞬間に、斗真の表情は複雑なものに一変した。
その中には、驚きも含まれているように見える。
斗真「…4人以外ってこと？」
「うん、俺らと担当の先生以外ね。
担当の先生は、昔から担当だから慣れてるだけ」
斗真「……それは、病気で？」
核心をついてきた彼。
俺とニノの目を交互に見て尋ねてくる斗真に
俺らは同時に首を横に振った。
斗真「じゃあ、精神的に…
え、でも今までは…普通だったよね？」
和也「ん…、まぁ、偽ってたって感じかな。
でも俺らは、潤くんに偽って仕事して欲しくなくて。
ありのままで仕事して欲しいから、潤くんに人に慣れてもらいたいの」
「だから…、斗真に、協力して欲しい。
潤に、会って欲しいんだ」
斗真「面会してなかったの…、それが理由だったんだね」
“ 松本潤、面会拒絶 ”
どこかのネット記事で見かけた、そんな文字を思い出す。
そんな噂が回っているのを知ってるのか、面会という言葉を使った斗真。
考え込む彼を、
何も口を挟まずに待つ。
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作者名：つむぐ
| 作成日時：2019年6月27日 16時
