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side N
その後、少しだけ屋上で5人で話して
潤くんの体が冷えちゃう前に屋上を出た。
裏口を通って病室に戻る時
いつも、自販機が置いてある。
こんなとこ誰も通らないから、
きっと先生達専用なんだろう。
ご丁寧にベンチまで置いてある。
智「はい到着〜」
潤「ありがとっ」
翔「ふふ、いえいえ」
「……ごめん、俺自販機行ってくる」
雅紀「あぁ、うん」
潤くんが頷いたことを確認して、
病室から出て裏口にある自販機に向かう。
ベンチに腰掛けて、
携帯のメモを開く。
“ この先 ”
と題されたメモは、空白。
「…はぁ、」
.
2週間ほど前、潤くんの歩くリハビリを開始した日
見送ってくれた先生に目配せされた気がして
飲み物買ってくる、と嘘ついて病室を出た。
…同じ嘘ばっかだな、って今気付いたけど。
それで病室を出ると、少し離れたところで先生が待っていて。
何かお話ですか、と聞くと
別室で、と言われ連れて行かれた。
「…潤くんに、何かあったんですか？」
別室に着いて早々、不安からそんな言葉が出てしまった。
先生「いえいえ、潤の回復は順調です。
今のリハビリで歩けるようになれば、退院もすぐです」
「え、それなら…」
先生「…だからこそ、なんです」
先生の言っていることがイマイチ分からなくて首を傾げると
少し複雑そうな顔をした。
先生「どれだけ親密な人でも、退院出来るくらいに回復した人を病院に置いてはおけないんです」
「……ここを、出なきゃいけないと…」
コクリと頷いた先生。
潤くんに退院が近いということは
何より嬉しいはずなのに
それによって大きな問題が起こると、
全く考えていなかった。
先生「どうするかは、私が決めたりはしません。相談などは乗りますが、決めるのは皆さんです。
皆さんに話すことも出来たのですが、このことは二宮さんの方が詳しいかと思いまして」
先生は、俺が潤くんと住んでたことを知ってるから
皆に一から話すよりも、まずは俺だけに話した方がいいと判断したんだろう。
ここを出る時は、きっと
潤くんは復帰も出来る状態だ。
復帰した初め頃は、
急変した環境に不安定になる可能性が高い。
となると、最低2人は潤くんの傍に居てあげたい。
それをするには
どうするのが一番なんだろう。
いや、それよりも
どんな選択肢がある？
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作者名：つむぐ
| 作成日時：2019年6月27日 16時
