79 / 見えない糸 ページ37
side S
屋上に着き、
潤の好きな場所を車椅子を押しながらウロウロする。
話し出すタイミングは、ニノ次第。
潤「きもちぃね〜」
和也「潤くん風好きだねぇ」
フワフワと話す潤に合わせてると、
自分もフワフワと話してしまう。
ニノもフワフワしてて、その気持ち分かるなぁなんて思ってたら
ニノが、チラリと俺らの方を向いた。
話すんだ、と
言われなくても分かった。
和也「ねぇ潤くん」
潤「ん？」
和也「俺らから、話があるの。聞いてくれる？」
潤「…？うん…？」
和也「あのね？潤くん、回復が凄く順調なの。
だから、復帰する時のことをいろいろ考えてた。
そしたら、1つ問題があることが分かったの」
潤「ん、なぁに…？」
しゃがんで彼と目線を合わせて、
潤がちゃんと理解出来るように、
ゆっくり、間を空けながら話すニノ。
その考えの通り、
潤は頷きながら聞いてる。
和也「復帰すれば、その時はたくさんの人と話さなきゃいけなくなることなの」
その言葉に潤は、
少しの間をあけて頷いた。
潤「…おれ、まえみたいに、するから…だいじょうぶだよ？」
和也「ううん、潤くん。俺ら、それは頷けない」
潤「ど、して…？」
“ ダメ ” という言葉を使わずに伝えたけれど
それでも潤は、頷けないと言われたことに
涙目になっていった。
それを見てニノは、
一旦彼を抱き寄せて落ち着かせる。
その間は何も言わず、
潤も、ニノが落ち着いて欲しいために抱き寄せたことを分かってるみたいで
自分を落ち着かせるように、肩で息をしてた。
ニノの行動ひとつひとつが、
ちゃんと潤に伝わってて
潤に伝わる行動の仕方を、
ニノはちゃんと知ってる。
2人の繋がり方が凄いと、改めて思った。
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作者名：つむぐ
| 作成日時：2019年6月27日 16時
