木漏れ日より、愛を込めて -2- (ページ23)

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side N

潤「…あの、ね？」

「うん、」

潤「リハビリ…ちょっと、こわいなって。おもったの。
ちょっとだよ？ほんの、ちょっと」

雅紀「うん」

潤「そしたらね…、いうの。
よわいんだ、って…
みんな、あるけないおまえをめいわくにおもってる、って…」

もともと俯いていた視線を更に落として
次に俺らが放つ言葉にビクビクしてる。

潤くんが目を覚ましてから
夢に母親が現れることは無かった。

病気の影響で、存在が薄れてるんだろうと思ってた。

それならいい、とも思った。

そのまま忘れてくれたら、
潤くんの中から居なくなってくれたら。

潤くんの中に渦巻く恐怖や不安が、
一部でも無くなると思ったから。

でもやっぱり、母親の存在が消えることは無くて。

潤くんの中で、あの人は大きい。

悔しいけど、きっと、俺らよりも。

普段は俺らの方が大きくても
1ミリでも母親が動けば、簡単に俺らよりも大きくなる。

恐怖って、たぶんそういうもの。

その時にはもう、愛とか絆とか関係ない。

その人が怖いかどうか。
その恐怖に勝てるかどうか。

でも潤くんには、俺らが居るから。
きっと、少しは戦えたんだろう。

だけど、一度植え付けられた不安と言葉は
1人では拭えなかったんだ。