46 / 必要なのは ページ2
side S
その事を聞いて、
潤の携帯のことを思い出した。
潤が入院した後くらいから、
俺らのうちの誰かは潤と居るから携帯の必要は無くなって。
潤もそれどころじゃなかったから、
携帯を見る習慣もなくなった。
だから充電切れても充電することは無く、
そのまま放ったらかしだ。
たぶん、あの病室のどこかにある。
…いや、俺らの誰かが持ってるんだっけ？
「潤、今誰とも連絡取ってなくてさ。
携帯も、どこにあるか分かんなくて。
ごめんね、斗真が心配してたって言っとく」
「そっかそっか、それは全然大丈夫なんだけどさ
なんか力になれることがあれば言ってね」
「うん、ありがとう」
笑顔で去っていく斗真の後ろ姿を見ながら
今まで考えてなかったことに気が付いた。
そうか。
潤にも、人間関係があったわけで。
最近は、上半身はほぼ自由に動けるようになりました、
って近況報告としてテレビでも言ってるから
それなら連絡取れるかも、と思う人も多いのかもしれない。
それに、もし潤が復帰出来る状態まで回復したら
その時は、いろんな人と会わなきゃいけない。
となると、潤はたぶん怖がる。
だからといって、前みたいに偽らせるわけにはいかなくて。
出来れば、ありのままの潤で仕事して欲しい。
違和感を持つ人がいたって、
そんなの俺らが全力でフォローする。
でも第一に必要なのは
潤が、俺ら以外の人と話したり出来るかどうかだ。
雅紀「あ、お疲れ様です！」
ふと聞こえてきた相葉くんの声で我に返って
傍に居た先輩に、相葉くんと一緒に会釈をした。
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作者名：つむぐ
| 作成日時：2019年6月27日 16時
