人間のフリをして【番外編】 (ページ5)

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番外編part5 ページ5

次の日、起きて早々朝ごはんを頬張る彼に聞いてみた。

『出久、今日……』
「ごめん、今日は遅くなるかも」
『そうじゃな』
「先ご飯食べててよ、かなり遅くなるから」
『……』

彼は悪気があって言ってるんじゃない。
それは目を見ればわかる。

急いでるから後でとそう悟っているようだった。
でも……

「じゃあ、行ってくるね」

もう少しぐらい相手にしてもらってもいいじゃないかって。

わがままだろうか？
自分勝手だろうか？

食べ終わった食器を片して私はナーヴギアを持ってベットに寝転がる。

メモ書きのメッセージをテーブルに置き、握っていたナーヴギアを頭にセットした。

『……リンクスタート』

目を閉じてGGOを起動した。

その頃、出久はヒーローの事務所に到着していた。
今日はある事務所と手を組んで行うパトロールだ。

「あら、お久しぶりね。緑谷ちゃん」

懐かしい独特な喋り方に振り返る彼。
それは紛れもない、クラスメイトの一人だった。

「蛙吹さん！」
「梅雨ちゃんと呼んで。そして今は任務中だからフロッピーよ」
「ご、ごめん」

今回はどうやらなかなかの厄介者らしい。
海と陸を行き来する敵で今、逃走中だとか。

「そう言えば緑谷ちゃん。しろちゃんは元気かしら？ちゃんと構ってあげてる？」

その質問に顔を曇り出す彼。

「しろちゃん、寂しがり屋さんだから構ってあげなきゃ拗ねちゃうわよ」

だんだんと顔を青くさせる。

そう言えば昨日、様子おかしかったな。
と、冷や汗をかきながら思い返した。

「そうかも。最近、仕事が楽しくてそれに夢中すぎたのかもしれない……ありがとう、梅……フロッピー」
「えぇ」

ふと、全体に号令がかかった。

水に入れるものは水に。
それ以外は陸でパトロールを。

限られた範囲の中に必ずいるはずだ！

そう、号令がかかった。

それから敵が捕まるのに半日はかかったらしい。