人間のフリをして

十二話 ページ15

『þeir slíta fimm grǿnn vindr(セアー・スリータ・フィム・グローン・ヴィンド)』

唱えた呪文は風を起こし、キリトは向かい風となって上に舞い上がる。

風からブーメランのような刃が生まれ、奴らを八つ裂きにする。

その間は羽が回復し、再び飛ぶ。

後ろでリーファが来たよと叫ぶ。

何が来たのか、そちらを見てみれば見覚えのない軍の姿が。

どうやら、キリトたちの知り合いらしい。

『キリトは上、向かうの』

彼を突き飛ばし、無理にでも行かせる。

「悪いっ」

上に向かった彼を見送るとここを出るため今度は出口に向かって飛び出す私たち。

『ライトニング・リッパー』

下へ急降下で降り、道を作る。
それに続き、リーファ立ちもこちらに向かってきた。

どうか無事、たどり着けるように。




息を切らして門の前で倒れ込む私たち。

彼はもうアスナのところにたどり着いただろうか。
そんな感情を抱きながら、上を見上げる。

「大丈夫ですよ、お兄ちゃんですし」

隣にいた妹さんが立ち上がる。

『大丈夫』

その後私は現実世界に戻り、明日に備えて寝た。

頑張れと、それだけ強く願いながら。

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