暗殺ヒーロー (ページ7)

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part５２ページ7

「なりてぇもん、ちゃんと見ろっ」

叫び声が聞こえてきた。

ゆっくり目を開けると、隣には動かない緑谷くん。
叫んだのは轟くん。

私は手足を動かしてみた。
まだ、行ける。

確か、烏間先生が持たせてくれた数本のナイフがあったっけ。

私は何かを決心した顔をして起き上がる。

「桜木さんっ！？」

緑谷の声に皆が反応する。

「久々にやるなぁ」

と、傷口に手を当てる。

「変換」

変換したものは自分の血液。

これを血ではなく、トマトジュースに変換。
と言っても、錯覚のようなもので。

奴の個性対策と言っておく。

次はナイフを変換。
無数のナイフを投げて時間稼ぎ。

前に出て奴に向かって攻撃を仕掛ける。

「遅い」

血を流しているため、動きが鈍いのは知っている。

刃物で私を切りつけた奴はそれを舐めた。
しかし、私が動かなくなることは無かった。

だって、あなたが舐めたのはトマトジュースだもの。

「私の血液のお味はいかが？」

悔しそうな顔をするヒーロー殺しに私は笑う。

前には轟くん、後ろには私。
挟み撃ち状態になるはず。

「無理すんなよ、瑠衣」
「大丈夫っ」

しかし、攻撃は単純なので避けられてばかりである。

「じゃあ、これはどう？」

ナイフに再び変換し、それらを投げる。
投げたナイフは追跡ナイフ。

やつに刺さるまで追いかけてくるナイフだ。
それが刺さったと同時に後ろからなにか動きがあった。

轟くん側からは飯田くんが。
後ろは多分、緑谷くんが。

「いけっ」

ふたりが同時にやつに蹴りと殴りを入れた。
やったか…？

だが、奴は怯むことなく次の行動に移ろうとした。
が、動けなかった。

「ふぅ、やっと効いてきた」
「何をした」

ヒーロー殺しが私を睨む。

「ここに来る前、スナイパーライフルを使ってあんたの首辺りに五ミリ程度の麻痺弾を打ち込んだの」

それは衣服関係なく貫くので、方向さえあっていれば問題ない。

体の自由が効かなくなったヒーロー殺しを轟くんが燃やす。

やがて、奴は気を失った。