暗殺ヒーロー (ページ13)

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part５７ページ13

ようやく退院できたと思えば、荷物をまとめて英雄高校に戻らなければいけない。

「忘れ物はないな」
「うん。ありがとね、烏間先生」

コスチュームを持ち、荷物を持ち。

私と烏間先生、イリーナ先生はこの事務所の前でお別れ。

「あまり見てはやれなかったが、個性の基本に戻ってみてはどうだ」
「……というと？」

「桜木の個性は変換なんだろ。なら、周りの物ではなく自分自身で何かに変換できるか考えてみてはどうだ」

敵を前にして、周りを見渡している暇はない。
そう言いたいのだろう。

確かに、敵は待ってくれない。

「私からは以上だ」

と、烏間先生はイリーナ先生に目をやる。

「そうね、私からは……」

私に近づき指をさす。

「もっと色気を出しなさい」
「余計なお世話です」

それ関係ないよね。

「貴女、恋とかしたことないんじゃない？そんなんじゃ、潜入時に男を口説けないわよ？」
「当たってる……けど、一応いますよ？」

彼氏……轟くんが。

「嘘っ、そんなの彼氏さんが可愛そうじゃない！」
「今のイリーナ先生と烏間先生の状況で言えます？」

ごもっともな意見に彼女は石化する。

「もう時間だ、いけ」

石化したイリーナ先生を置いて、私は後ろを向いた。

「あ、そうだ。烏間先生」

私は首だけそちらに向けた。

「イリーナ先生、もう少し大切にしてあげてくださいね」

その言葉に顔が引きつる。
返事は帰ってこなかったが、私はその場を去った。

細い路地を出る道の手前で叫ぶ。

「短い間、ありがとうございました！」

また強くなって、帰ってきます。
路地を出て英雄高校に向かった。

【訂正】
主人公のセリフの『』から「」に変更しました