暗殺ヒーロー (ページ1)

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烏間先生が務める事務所はこの裏路地を真っ直ぐ行った先にあった。

「いかにも暗殺者って感じですね」
「この辺りは最近、ヒーロー殺しに警戒が回っていてな。この裏路地周辺にもよく現れたと情報があった」

ヒーロー殺し。

飯田くんの兄がやられたという話は聞いていた。

「今日はとりあえず、お前の個性がどういうものか見させてもらうぞ」
「体育祭とかさっきの戦いで存分に見たでしょう」

事務所の中に入るなり、連れてこられたのは訓練所。

「近くで見ないと意味無い」

コスチュームに着替え、烏間先生と勝負。

「変換」

地面を変換し、壁を作る。
さっきの戦いでかなり使ってるからできれば手短に終えたいものだ。

イリーナ先生は訓練所の外でくつろいでいた。
窓越しから見える。

「いくぞ」

手には銃を腰には替え玉を。
いや、やる気満々じゃないですか。

壁を作ったのは失敗だったかなと反省。

烏間先生の場合、壁を作っちゃったらどこから撃ってくるかなんて分かったもんじゃない。
だからやめた。

「解除」

作った壁は音を立てて崩れ、何も無い訓練所に戻る。

背後に気をつけつつ、壁へ。

「変換」

次に変換したものは空気。

黒い煙へと変わり、訓練所を覆い尽くす。
足音を殺し、小さく変換と呟いた。

すると床は蟻地獄となり、地面にいる先生の動きを止める作戦だ。

しかし、それだと単純すぎるので今度は天井をクモの巣に変えた。

壁は粘着性のものに変えておこうか。
これで逃げ道はない。

私はクモの巣の上に乗り、煙が晴れるのを待つ。

ふと、クモの巣に激しい揺れが起きた。

「これはやりすぎだ」

蜘蛛の糸に引っかかった烏間先生の顔が焦っていた。

「それぐらいやらなきゃ、敵は捕まりませんって」

全ての変換を解除し、烏間先生からようやく教わることに。

「まずは基礎からだ」

と、渡されたのは銃。

「相手の動きをよく見て、俺に攻撃を当ててみろ」

攻撃を当てていいのは銃のみ。

こうして、職場体験という名の修行が始まった。