第三十八話:ルール説明 ページ42
·
只今、私は弓矢を持たされ、赤みがかった黒髪に赤いマフラーを靡かせる少年にゲームの説明を受けていた。
───ちょっと待て。
すんなりと受け入れてしまっていたが、何故私は弓矢を掴まされているんだ。何故、主人公の相棒である
つい先程までシャオロンと鬱島、捏島の四人で会話をしていた筈。それで段々人数が集まってきて、その中にオスマンが居たことに驚いて…ここまでは分かる。
それから緑色の脅威もとい鳥井希に絡まれて、とんとん拍子に話が進んで……
そうだ、鳥井希の口車に乗せられて参加することになったんだ。
『っはぁ〜〜〜〜〜……』
「えっ、え、どうしました…？」
『いや、すまない。何でもない、説明を続けてくれ』
思わず溜め息が零れてしまい、目の前の少年は肩を揺らしたが、すぐに説明へ戻った。
「それでですね、この一撃必殺の弓で射られたらリスポーン場所に強制移動するんです。そこでゲームモードをスペクテイターに変更するとゲームの観戦が出来るようになるんで……」
桃瀬は手に持った弓を指差しながら説明を続けるが、一気に専門用語が出てきて無意識に首を傾げてしまった。
それを見た桃瀬は小さく笑って「百聞は一見にしかずやな」と言ってポケットから何やら小さな匣を取り出した。
『それは？』
「まぁ見とって下さい」
そう言って彼が匣を地面に置くと匣から光が迸る。その光はどんどん膨張していき、私と桃瀬だけではなく周りに居たメンバーも飲み込んでしまった。
「目ェ開けて大丈夫ですよ」
思わず目を瞑ってしまった私に声が掛かる。恐る恐る目を開けると、そこには大きな古城が聳え立っていた。
『おぉ……』
思わず感嘆の声も漏らす。
『驚いたな。あの一瞬でこの空間を構築するとは…どんなギミックだ？』
私の問いに隣に立っていた桃瀬は擽ったそうに笑いながら丁寧に説明し始めた。
「空間魔法と結界術の応用です。予め作ってあった空間を結界で閉じ込めて何時でも展開出来るように仕込んであるんです」
さらりと言ってのけているが、相当高度な技術が無いと出来ない技だ。まず空間魔法自体が高度な魔法の一つとして名高く、私でも使用することを躊躇う程だ。
それを結界術との併用でこの空間を作り出すとは……！
自然と口角が上がっていくのが分かる。
『こんな所に有能な人間が転がっていたとはな……』
「？なんか言いはりました？」
『いや、何でもない』
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 311人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鶴木(プロフ) - しおりんさん» ありがとうございます！ (2020年9月13日 13時) (
レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん(プロフ) - あ″ぁ好き！シナリオ面白いです(*´∇｀*)本当に！いい展開！ (2020年9月12日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - Tさんさん» ひゃー！ありがとうございます！！女王様主人公大好きなので動かすのが楽しいです……更新頑張ります！！ (2020年8月9日 18時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
Tさん(プロフ) - 主人公の性格と世界線が凄い好きです…！ もう、好きです！(2回目)無理しない程に頑張って下さい！応援しております〜、 (2020年8月9日 14時) (レス) id: 0fb9fed1ca (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - #よにん。＠変人系カップル＆シトラ教教組さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2020年8月5日 16時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鶴木 | 作成日時：2020年7月20日 22時
