第十七話:深紅と深緑 ページ20
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────タンッ─…
矢が風を切り、的に命中する。
見事真ん中を貫いた彼に賞賛の意味を込めて拍手をすると、栗皮色が揺れ、深緑が見開かれた。
「A、いつの間に……」
『精神統一の最中の相手に話しかけるなど無粋の極みだろう？』
「あ、結構前から居ったんやな。別に気にせぇへんから話し掛けて欲しかっためう〜」
『それは悪かったな。……ところで、最近距離が近くないか』
ぱたぱたと道着の裾を揺らしたかと思えば、抱き着いてくる押田。彼にこういったスキンシップを取られるのは中学生以来だな、などと呑気なことを考える。
「めう〜っ」と可愛らしく鳴きながら擦り寄ってくる押田の肩を離れろの意味を込めて叩く。
『押田、そろそろ離れろ。視線が痛い』
此処で活動しているのは彼だけでは無い。先程から他の部員からの視線が突き刺さってくる。
押田は渋々といった様子で離れたが、何故か手は肩に置かれたままだった。少し眉をひそめて彼を見上げれば、彼も気に食わぬと言いたげな面持ちでこちらを見詰めていた。
「オスマン」
『……は？』
「昔みたいにオスマンって呼んで欲しいめう」
『流行っているのかそれ』
「あ、マンちゃんでもええよぉ」
『話を聞け』
デジャヴを感じるやり取りに折れたのは私だった。
『分かった分かった。オスマン、手を離してくれ』
「んふふ、まー及第点やな」
『なんだそれは』
彼に案内されて、丁度道場を見渡せる位置にあるベンチに座る。
終わったら迎え行くから、と一緒に帰る前提で言われ、大人しく部活が終わるまで見学することにした。
"前"はあんなに敵意丸出しだったというのに。何だか妙に懐かれてしまったな。
道場に戻り、長弓を持ち直すオスマンをぼんやりと眺めながら、そんなことを思った。
校則改革計画に引き入れた事を除いて、私自身が彼に特別なアクションを起こした覚えは無い。つまり、彼自ら私に対する印象を変えたということだろう。
まぁ、何故そんな事になったのか、てんで見当もつかないが。
ぼーっとしていると一通り射終えたオスマンが此方に向かって手を振る。振り返さない理由も無いので小さく振り返すと、途端に彼の顔が明るくなった。
───意外と単純なのかもしれない……
彼に犬の耳と尻尾の幻覚が見えた気がした。
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キャラが掴めん(頭抱え)
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鶴木(プロフ) - しおりんさん» ありがとうございます！ (2020年9月13日 13時) (
レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん(プロフ) - あ″ぁ好き！シナリオ面白いです(*´∇｀*)本当に！いい展開！ (2020年9月12日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - Tさんさん» ひゃー！ありがとうございます！！女王様主人公大好きなので動かすのが楽しいです……更新頑張ります！！ (2020年8月9日 18時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
Tさん(プロフ) - 主人公の性格と世界線が凄い好きです…！ もう、好きです！(2回目)無理しない程に頑張って下さい！応援しております〜、 (2020年8月9日 14時) (レス) id: 0fb9fed1ca (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - #よにん。＠変人系カップル＆シトラ教教組さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2020年8月5日 16時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶴木 | 作成日時：2020年7月20日 22時
