17 ページ17
どのくらいの時間が経過したのだろう。
この部屋には時計も窓もないから分からない。
今は夕方なのか、それとも夜なのか。
もしかしたら朝なのかもしれない。
壁一枚挟んだ向こうには小学生が集団で投稿しているような穏やかな風景が広がっているのかもしれない。
上手く言葉に表せないような、惨めな気持ちになった。
隣ではぶるーくさんが寝ている。
乱れたシーツ、投げ出された服。
決して爽快といえない気分で羽織っていたジャージを拾う。
白尾学園、ねぇ。
ん、これは手がかりなのでは…？
今はインターネットが使えない状況だけれど、スマホさえ取り戻せば、現在地くらい…！！
そこまで考えて我に返る。
いや、高校時代過ごしていた町に今も住んでるとは限らないじゃん…
なんだかすごく憂鬱な気分になって壁に寄りかかる様に座り込んだ。
腰が痛い…何回したんだ。
途中で気を失ったから分からないけど。
痛む体に顔を顰めながら視線を移動させると、きんときさんの机が目に入った。
机といっても上には何ものっていない。
黒く、脚の長い無機質な机だ。
このままぼぅっとしていても気が沈むだけだと思った私は、所有者不在の今、物色することにした。
机の下にある棚は全て鍵がかかっていて開かなかった。
まぁ、そうだよね。
意味の無い行為だって初めから分かっていたけれど、今その瞬間の生きる意味が欲しかったのだ。
溜息を吐きながら一番下の引き出しに手をかける。
ガラッ
開いた。
思わず固まる。
中には鍵がひとつ、入っていた。
恐る恐るそれを取り出し、ジャージのポケットの中に入れた。
何の鍵だろう…
願わくばこの部屋の鍵であって欲しい。
そんなのありえないって分かってる。
これは何かの罠だ。
そう分かっていても、一筋の希望に縋り付きたくなった。
ゆっくりと立ち上がり振り返る。
よし、ぶるーくさんはまだ寝ている。
お願い神様、私の一生分の運使い切ってもいいから…！
開いて…！！
入口の鍵穴に鍵を嵌めて、勢いよく回した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 233人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまむ(プロフ) - ぬんぬかさん» ありがとうございます！そのお言葉に救われます！更新頑張れます🙇🏻♂️🙇🏻♂️ (2023年5月2日 19時) (
レス) @page31 id: d1b48f25f7 (このIDを非表示/違反報告)
ぬんぬか - 完結おめでとうございますあああああああああまじ最高でした……これからも主様応援させていただきます大好きですあああああああ😭😭 (2023年5月2日 19時) (レス) @page31 id: 04ab76775a (このIDを非表示/違反報告)
あまむ(プロフ) - 58ab587xさん» お褒めのお言葉…嬉しいです🙇🏻♂️🙇🏻♂️読んでいただきありがとうございます✨️更新頑張ります！ (2023年4月19日 7時) (レス) id: d1b48f25f7 (このIDを非表示/違反報告)
58ab587x(プロフ) - めちゃんこすこです｡｡。設定流れ全部好きです(((( (2023年4月19日 0時) (レス) @page18 id: e7d939d8f7 (このIDを非表示/違反報告)
あまむ(プロフ) - 黒輝雷音さん» 神なんて勿体なきお言葉、ありがとうございます🙇🏻♂️嬉しいです！頑張ります💪🏻 (2023年3月17日 1時) (レス) id: d1b48f25f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あまむ | 作成日時：2023年3月2日 16時
