ポニーテール。 (ページ26)

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『ねぇー機嫌直してよー』

豆「やだ」

さっき留学をすると言ってからこんな状態だ。

こんなに機嫌が悪い一成を見るのは何年振りだろう。

『留学に行くのは仕方ないじゃん』

豆「そうかもしれないけどさ…」

『けど、何？』

豆「…」

急に黙り込んで足を止め、いつもの自転車のハンドルをｷﾞｭｯと握って私の方を見つめる。

豆「好きな人と離れるなんてやだ…」

『え？』

豆「Aちゃんと離れ離れなんて嫌、だよ…」

『一成…』

まさかそんな事を言ってくれると思わなくてびっくりした。

だけど私をそんなに好いてくれているんだと改めて嬉しい気持ちになって思わず笑みがこぼれた。

『一成、1つ聞いて欲しい事があるの』

豆「何？」

『私ね、将来の夢を見つけるのが今まで出来なかったの。一成や有咲は自分のやりたい事を考えてそれに向かって進んで行ってるのに私だけは何も見つからなかった。

だけどね、やっと見つかったんだ！やりたい事が。だからスタートが遅れた分を取り戻すためにも私の事を待っていて欲しいの』

豆「…」

『連絡もするし、
たまにはこっちに帰ってくる…ね？』

私がそう言うと悲しそうに俯く。

すると、ﾊﾟｯと顔を上げて私をｸﾞｯと引き寄せた。

自転車の倒れる音が私達の耳に響く。

『ちょっ…え！？』

豆「…てる」

『ん？』

豆「待ってるから、ずっと」

『…！』

豆「その代わり、Aちゃんが帰ってくる頃には僕ももっとカッコイイ男になるから！」

『一成…今、顔真っ赤でしょ？笑』

豆「うるさいっ！//」

より一層力を強める。

もっとカッコイイ一成か…。

今でも十分カッコよくて素敵なのに。

なんて思いながら私もそっと一成の背中に手を回した。

豆「それと…」

『…？』

何かを言いかけて私の耳元に近づく。

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豆「帰ってきたら…___________________」