検索窓
今日:1 hit、昨日:40 hit、合計:44,498 hit

〘 17 〙 ページ18

流星






もうこの光景何回みたやろうか。

楽屋に入れば真っ先に目に飛び込んでくるしげの姿。


イヤホンを片耳につっこみながら机に向かって、
鉛筆を動かしてるのが当たり前で。



今日もそーなんやろうなって素通りしようとしたら、
鉛筆持ったままの彼から唸り声が聞こえた。








「……ぇ、しげ?」









よく見れば目は閉じられてて、
どうやら寝てるらしい。








大毅「……っ、ぅーっ、」




流星「しげ、寝てんの?起きてんの?」







近寄って問いかけても反応はないから
心配になって顔を覗き込むと、
苦しそうに顔をゆがめ汗を垂らすしげ







流星「……しげ、しげ、おーいっ」



大毅「……っ、やめてっ、邪魔せんといてっ、」



流星「ごめん、……って夢見とるんか?」






会話が成立した気がして、
びっくりして近くにおった照史に目配せすると
あかんなぁ、と首を横に振る。







照史「さっきからその調子やねん。
起こしてあげた方がええかもな」



流星「そう、なん、

……しげ、しげ1回起きよ」






ゆさゆさと強めに体を揺らせば
弾かれたようにびくんっと飛び起きた。








大毅「……わっ、おれっ、ぁれ、おる、なんで、」



流星「落ち着いてしげ。今から仕事やからおんねん。」



大毅「……仕事、みんなと、」



流星「せや。どうした?怖い夢でも見たん?」







キョロキョロと瞳を動かし、
その視線が俺に止まると
申し訳なさそうに頭を垂れる彼。








大毅「……うぅん、ごめん。メイク、行ってくる、」




流星「……まって、俺も行くから」






その儚そうなしげの顔を見たら
こいつがまた孤独になってしまう気がして、
慌てて手を掴んで、引き止めた。







大毅「……りゅう、せ?」



流星「一緒に行くから。」







心底意外そうな顔をしたしげが
俺に掴まれた腕に視線を移して「痛い」と言う。








流星「……わざと痛くしたんや。
しげが現実に戻ってこれるように、」



大毅「……ん?りゅうせい、?」



流星「なんでもない。行くで。」







同期やからしげがどういう気持ちなのか
どんくらい心がやられてるのか
みんなよりわかると思う。


しげは俺に頼らんけど、
みんなみたいに俺も力になりたくて。



なんか俺らしくないこと言ってたみたいや。





〘 18 〙→←〘 16 〙



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (97 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
333人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

5歳児ニコニコ天使ちゃん - 完結おめでとうございます。素敵な作品すぎて読んでいたら自然と涙が溢れてきて、間違っちゃいない。を久々に聴きにいこうかなと思いました。完結までお疲れ様でした! (7月26日 22時) (レス) @page24 id: 17fbf9b77b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きりまる | 作成日時:2023年4月18日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。