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大毅

「なぁ、俺やりたいことあんねん。」

その一言を言い出すのにだいぶ時間をかけて
みんなの前に差し出した一枚の紙

流星とか淳太みたいにびっしりと書かれた、
なんてもんやなくて

たった一言、″ピアノが弾きたい″

そう俺なりの綺麗な字で書いただけの紙

照史「……えーっと、具体的には？」

淳太「ぉん。どういう形で？」

まあそうなるよな。
これしか書いてへんのやから。

でも、俺はこの気持ちだけでこの企画会議に臨んでた。

「……ごめん、具体的には決まってへん。
その、照史とやった乗り越しラブストーリーが楽しくて、やから、もっかい、やりたいなぁって。」

しばらく誰も何も言わずに沈黙の時間が流れる。

みんなの視線が痛い。

「…どう、」

淳太「……もっと具体的な案がないと
まだ良いとは言われへんかな」

照史「ピアノをやるんでもいいねんけど、
前回と同じテイストになるのはあかんのちゃう？」

流星「しげのなかで想像してるのはあるん？」

智洋「作詞作曲するってこと？」

淳太を皮切りに次々に浴びせられる質問。

わかってはいたけど、いざ矢継ぎ早に飛んでくると
顔を上げられへんくて。

″ピアノを弾きたい″
たったそれだけの文字をじっと見つめながら唇を噛む。

照史「……しげ、なんか言わな伝わらんよ」

淳太「せやで。お前の中で考えていることがあるんやったら、それ次第やし」

照史「楽しいだけで突っ走ったらあかんこと、
しげもわかっとるやろ？」

わかっとるよ。わかっとる。

でも、こんだけメンバーに言われても、
自分の中では『ここは折れたくない！』って
なんか思ってしまって、

「……俺、やるから、ピアノ。」

そう言い残してメンバーの顔も見んと、部屋を出た。

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