願いが叶うのならば Ⅳ (ページ44)

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教室の中では他のクラスの子たちは
たのしそうに昼休みを満喫している

…まるで涼介なんていないかのように

大貴「涼介、ここでお話しするのはいや？

兄ちゃんも一緒に行くからさ保健室とか行こうか？」

そう優しく話しかけると
少しだけ涼介の口元が動く

涼介「…んっ、、、もう…」

大貴「ん？」

涼介「もうっ…きょうしつ、、いかないもん…」

大貴「うん、わかった、

教室は行かなくていいからね、保健室とかどう？

お昼休みだし、大ちゃんも一緒にいるよ。ね？」

涼介「…ん、、、そ、する…」

大貴「よし、立とっか。大ちゃん支えてるからね」

涼介「…ん」

涼介の決心がついたのを確認して

立ち上がるのに合わせて背中を軽く持ち上げてやる

ここまでするのにはしっかり訳があって

涼介は上肢障害、つまり

右腕は肘と肩の間ほどしかなく
左腕は手や指がないような状態で生まれてきた

左腕と右腕の長さが違うことで
まだまだ小さな涼介は体のバランスを保つことも難しくて

こうして立ち上がったりするときは支えが必要で

食事や勉強は器具や少し方法を変えたり、
先生からサポートを受けてもらえると出来るけれど

'' まわりとなにかちがう '' そんなことを
たった7歳の、子供たちが受け入れることは難しいみたいで

保育園の頃からこうして周りから
悲しい言葉をかけられることは珍しくなかった