願いが叶うのならば Ⅳ (ページ31)

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宏太「いよいよ来週かー…」

光「りょうちゃん、調子戻るといいね」

カレンダーの2日後の欄には
おおきくまるがついている

不確かな夢をふたりでつくったあの日から半年

ついに2日後は夢だった花火大会の日

けれどここ最近の涼介の調子はお世辞にも良いとはいえず

人工呼吸器をつけていても外出はできるけれど
この状態では厳しいかも、と言われているのだ

光「なんとかして行かせてやりたいけどな」

光も俺たちの事情をよく知っているから
どうにかして…とふたりで案を練っていた

ピピピピっ、と涼介のベッドからコールが聞こえて

慌てて涼介の元へ向かう。

指先が動かせる今は、用事がある時はボタンを押して俺らを呼べるようにしていた。

涼介を見ると、文字盤を目で追っていて

調子が悪くて呼ばれたわけじゃないことにほっと胸を撫で下ろした

宏太「ごめんごめん、寂しかったね」

すぐに文字盤を用意して涼介の目線をひとつひとつ追う。

宏太「…は、な、び、い、き、た、い、、

花火大会、行きたい？」

涼介の方を見ると、ぱちり、と瞬きをした。

やはり涼介の思いは変わっていなくて。

俺もどうにかして連れて行ってやりたいという気持ちが強くなった。

_____

花火大会、当日

やはり体調的にも、人でごった返す会場へ行くのは無理だと言われ

半ば諦めモードだった時、

光のおばあちゃんの家から花火が見えるから、そこならどうだ、と光が提案してくれた

家の中なら機械も持ち込めるし、
光の付き添いもあるから安心だ、ということで

さすがな会場はごめんだけど、ってお邪魔させてもらうことになった

昔ながらの縁側に涼介の車椅子を止め、

俺もその横に腰掛けて一緒に外を眺める

ヒューーーーっという音と共に、
バチバチっと、夜空に大輪の花が咲き誇って

涼介の目には色とりどりの花火が映し出されていた

宏太「りょう、花火きれいだね。一緒に見れてよかった」

そう話しかけると、涼介の目からは
ぽろぽろと、涙が溢れ出てきた

だけどその涙はきっとこの前流した涙とはちがう

うれしなみだ、だよね。

____だいすきだよ。ずっとずっと

いつかこの花火のように、花が散ってしまう日が来ても、

俺はりょうと見たこの花火は絶対に忘れないんだろうな