願いが叶うのならば Ⅳ (ページ26)

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結局、ショックが大きかったのか、それからごはんは食べてくれなくて

隣に座るその姿はいつもの数倍小さく見えた

宏太「りょう、そろそろソファ行って準備しよっか、

トイレいく？」

涼介「…と、ぃれ…」

ALSは尿意が麻痺するわけではないから、
移動さえできるうちは自分で排泄もできる

涼介を半ば抱きかかえるように体を浮かせて立ち上がらせ

力の入らず重そうに震える足と身体を支えながら、すぐ近くにあるトイレへ一緒に向かう

リビングと和室しかない
1LDKのちいさなアパートは逆にリハビリには丁度いい

宏太「よし、上手上手。トイレ座るよー」

ズボンを脱がせて、必死に俺にしがみつく涼介をそっとトイレに座らせて見守る

もうトイレもごはんもすべてひとりではできなくて

ひとつひとつ時間がかかってしまうけれど
そんなの気にしてなんかいられなくて

あと何日こうして涼介と一緒に笑っていられるのかな、なんて思うと不安で不安で堪らなくなるんだ

涼介「…ん、、も、おわ…り…」

宏太「終わった？身体起こすからね、力入れるよ」

日々目まぐるしく変わる涼介の身体に

俺も涼介もついていくのに必死

そっと涼介の服を直してやり、トイレからリビングに向かい、次は着替え

中学は地元の学校に通っていたものの、
病状が一気に進んだこともあり、高校からは近くの特別支援学校でお世話になっている涼介

だらん、と力の抜けた脚に制服であるズボンを履かせて

上は着替えやすいよう前開きの白いポロシャツを着せる

なんとなく、髪を整えてあげて歯磨きを終えると、
長い長い朝の時間が終わった