願いが叶うのならば Ⅳ (ページ3)

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昼休みだから、他の生徒も怪我や体調不良で
保健室が少しだけ、賑わうことも多い。

カーテンを閉めているから見えないとは言っても

じゅるじゅるっと、大きな音がする吸引は
すこしだけ、恥ずかしかった

「せんせー、頭痛いので寝ててもいいですかー」

伊野尾「頭痛いのー？熱測りな」

「えー…」

カーテンの外で、男子グループの声が聞こえて、
いのおちゃんと話してる声が聞こえた

いのおちゃんは適当だ、なんて噂が流れてから
こうしてサボりに保健室に来る生徒も多いみたい

「そういえばさー、しってた？」

「なに？」

「新しく入ってきた1年になんか喉に機械つけてるやついるらしいよ」
　

そこまで聞いて、準備する手が止まる

「機械ってなんだよそれー」

「休み時間になると保健室できたねー音聞こえるって噂らしいぜー」

それって…

「はは！なにそれ、きも」

「まじ、ふつうありえなくね」

ふつうじゃない、きたない、なんて男子の声が頭でループする

休み時間にこうして保健室にくるのも、
喉に機械をつけてる、ってのも

たぶん僕のこと、だよね…

機械の準備をしていた手がぷるぷると震えて

息が、だんだん苦しくなって視界が歪む

気にしちゃダメ、だと自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、

頭の中はさっきの声でいっぱいになって

自分がふつうじゃないことも、周りから見たら変なことも、きもい、きたないって思われることも

ずっとずっと頭の片隅で考えていたことが、
改めて目の前で突きつけられて、

手に持っていたチューブは震えてしまい、息もうまくできなくって、吸引どころではなくなった