願いが叶うのならば Ⅳ (ページ15)

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涼介がいつになく真面目な顔でお願いをしてきたから、
どうしたんだろう、と内心ヒヤヒヤしていたけれど
　
聞いてみると「お兄ちゃんのためにおにぎり作りたい」なんて話し始めて

「…おにいちゃん、おしごと、つかれてるでしょ…

ふだん、めいわく、ばっかりだから……」

なんて泣きそうに話す涼介を見て心がツンとした

涼介のこと、誰も迷惑だなんて思ってないよ…

そんな思いは届かないのかな

涼介のために、ほかほかに炊けた白いごはんとラップをテーブルに準備する

侑李「ごはん熱いから気をつけてね」

涼介「ん…ありがと…」

手が震えてしまってうまく力が入らないから、おにぎりを握る手も不安定で

テーブルの上に並ぶおにぎりはあまり綺麗だとは言えないけど、

それでも愛情たっぷりのまっしろなおにぎりが出来上がった

涼介「…できた」

侑李「すごい…涼介、上手にできてる…！」

涼介「ほんと…？」

侑李「うん！お兄ちゃん、喜んでくれるといいね！」

なんて頭をポンポン、とすると、
弟なのにやめてよ、なんて言いたげに顔を赤らめた

______

慧「ただいまー」

「「おかえりー」」

仕事終わりのお兄ちゃんが帰宅して、テーブルに並べてあったそれを見て、目を見開く

慧「どうしたの？これ」

涼介「…おにぎり、つくったの…たべて…？」

慧「え、涼介が作ったの？」

うん、と呟く涼介をお兄ちゃんはぎゅう、と抱きしめる

慧「じゃあ、頂こうかな、ありがとね」

疲れてしまってソファに寝転ぶ涼介に声をかけてお兄ちゃんはそのおにぎりを食べ始めた。

慧「…っん、、おいしい…おいしいよ…りょうすけ、、、ありがとう、、、」

そう何度も何度も呟いて涙を流しながらおにぎりを食べるお兄ちゃんと

それをほんとうに嬉しそうにニコニコとして見つめる涼介を見て

嬉しくなって、僕もこっそり泣いたのはバレちゃったかな…