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side You
佐倉くんが、最後に図書館に来た日。
佐倉くんに、踏み込まれた日。
紬ちゃんには言わないで
って言い忘れたなあ。
佐倉くんはきっと言わないでいてくれる。
わかっていた。
謝りたかった。
結局それは、佐倉くんに会うための口実に過ぎないけれど。
校門を出て、目の前に佐倉くんが見えた。
佐倉くん、と叫ぼうとした時、彼は走り出す。
その先には、紬ちゃん。
これが最後。
精一杯息を吸い込んで叫ぶ。
佐倉くん
叫んだ、はず。
漏れた息と、発されなかった言葉が宙を舞う。
ああ、夢が終わる。
そこで、目が覚めた。
最悪の目覚めだ。
枕元の携帯は、ひっきりなしに光り続けている。
手にとって見れば、大量の不在着信とメール。
耳の聞こえない彼が電話をかけるのは、私の安全を確認したい時で。
そんなことを考えている間にも、音声通話がかかってくる。
拒否ボタンを押して、メッセージ画面を開く。
《起きた？》
《大丈夫？》
《なんかあった？》
《忙しい？》
《本当に大丈夫？》
《家向かおうか？》
《今どこにいる？》
《Aちゃん？》
《Aちゃん？》
《お願い、気づいて》
《返事して》
スクロールしても途切れることのないメッセージ。
想くんが私を心配している事実に、なぜか少し安心した。
《よかった》
《今奈々といるんだけど、Aちゃんは？》
奈々ちゃんといるんだ。
『《会いたい》』
たった一言。
返事にもなってない私の言葉に、すぐに帰ってきた返信。
《今家だよね？すぐ向かうから待ってて》
メッセージの後、すぐにかかってきた電話。
今度は応答を押す。
想くんはいつも、電話をつけたままこっちに来てくれる。
もちろん彼の声は聞こえなくて。
だけど、走っている足音や少し乱れた息が私を安心させると知っているから。
彼は今日も、私に【音】を届けてくれる。
side Sou
「〈どうしたの？さっきからスマホばっかり〉」
「〈Aちゃんに送ったメッセージに既読がつかなくて〉」
「〈まだ寝てるんじゃないの〉」
「〈そんなはずない。いつもならもう起きてるはずだから〉」
奈々は呆れた顔を俺に向ける。
「〈赤ちゃんじゃないんだから。それぐらい大丈夫だよ〉」
駄目だよ。
もう何度目かもわからない通話をかける。
すると、普通よりも早く呼び出し画面が終わる。
見てくれたんだ。
《会いたい》
「〈ごめん奈々。帰る〉」
早く、向かわないと。
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綺桜(プロフ) - 美桜さん» わあ！！！ありがとうございます！！！めちゃくちゃ嬉しいです...！！！がんばります！！！ (2023年4月4日 18時) (
レス) id: b46e876e49 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - silent要素もオリジナル要素もあってすごく惹き込まれます！どうか主人公が幸せになれますように…。更新楽しみにしています！ (2023年4月4日 0時) (レス) id: 5680939f49 (このIDを非表示/違反報告)
綺桜(プロフ) - 夢乃さん» めちゃくちゃ嬉しいです！！！！ありがとうございます(T_T) (2023年1月3日 12時) (レス) id: b46e876e49 (このIDを非表示/違反報告)
夢乃(プロフ) - silent関連の小説で一番好きです。これからも応援しています。 (2022年12月23日 23時) (レス) @page42 id: fed228a0da (このIDを非表示/違反報告)
綺桜(プロフ) - 和季さん» 和季様、コメントありがとうございます！すごく励みになります！この先も更新頑張っていくので、ぜひ主人公の行方を見守っていただければ！と思っております(●︎´▽︎`●︎) (2022年12月3日 1時) (レス) id: 048786881e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺桜 | 作成日時：2022年11月18日 0時
