面影を負う、 ページ49
『〈並んでるね〉』
「大丈夫」
光くんは、列の横をすり抜けて店員さんのもとへ。
置いていかれないようについていく。
「予約してた、青羽です」
よやく、してたの？
驚きを言葉にする暇もないまま、光くんはお店の中へ進んでいってしまう。
店内は、女子高生やカップルにあふれていて、なんだかちょっと恥ずかしい。
『〈予約、してたの？〉』
「...予約？だよね」
『〈うん〉』
「...佐倉萌が、しろって言ったから」
また拗ねたみたいな態度。
けど、目線は私を見ている。
構って欲しい子どもみたい。
「〈Aちゃん、いちごパフェにする？〉」
『〈うん〉』
「飲み物は？」
『〈...いちごみるく！〉』
満面の笑みを浮かべれば、彼もまた、嬉しそうな表情を見せて。
きれいだなあ、なんて。
光くんは何を頼むんだろう、と見つめていれば、私と同じセット。
『〈いちご、好きなの？〉』
「...Aちゃんが好きなの」
予想もしない返答に戸惑っていれば、彼は笑う。
「顔真っ赤(笑)」
ぺちりと手を当ててみれば、確かに火照った頬。
早く冷えて！と念を込めていれば、先程とは違う、小さな笑い声。
光を浴びた、彼は笑っていた。
光くんを目の前にしているのに、彼の姿を重ねてしまう私がいる。
酷い人間だよね、と思いながらも、彼を懐かしんでしまうんだから。
どうしようもなく醜い自分が、どうしようもなく嫌で。
どうしようもなく綺麗なその笑顔が、どうしようもなく好きで。
気を抜くと零れてしまいそうな涙を、こらえるので必死だった。
「......ね、Aちゃん」
『、？』
うつむいていた顔を上げれば、光くんはまた、笑っていた。
でもその笑顔は先程とは少し違くて。
何かに恋い焦がれるような、
何かを寂しがるような、
どこかで見たことのある笑顔。
「...俺ね、今が人生で一番幸せかも」
嗚呼、わかった。
見たことあるよ、高校時代に。
見たことあるんだ。
忘れたくても、忘れられない笑顔だ。
面影を追いかけて、どこまでも縋ってしまう。
君のその笑顔は、紬ちゃんが、想くんを見つめるときの笑顔だ。
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綺桜(プロフ) - 美桜さん» わあ！！！ありがとうございます！！！めちゃくちゃ嬉しいです...！！！がんばります！！！ (2023年4月4日 18時) (
レス) id: b46e876e49 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - silent要素もオリジナル要素もあってすごく惹き込まれます！どうか主人公が幸せになれますように…。更新楽しみにしています！ (2023年4月4日 0時) (レス) id: 5680939f49 (このIDを非表示/違反報告)
綺桜(プロフ) - 夢乃さん» めちゃくちゃ嬉しいです！！！！ありがとうございます(T_T) (2023年1月3日 12時) (レス) id: b46e876e49 (このIDを非表示/違反報告)
夢乃(プロフ) - silent関連の小説で一番好きです。これからも応援しています。 (2022年12月23日 23時) (レス) @page42 id: fed228a0da (このIDを非表示/違反報告)
綺桜(プロフ) - 和季さん» 和季様、コメントありがとうございます！すごく励みになります！この先も更新頑張っていくので、ぜひ主人公の行方を見守っていただければ！と思っております(●︎´▽︎`●︎) (2022年12月3日 1時) (レス) id: 048786881e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺桜 | 作成日時：2022年11月18日 0時
