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side Sou
それから俺たちは、離れていた時間を取り戻すかのように話し続けた。
いつの間にか日は落ちていて、外は暗くなっていた。
《春宮、って手話でどうやるの》
《A、でいいよ。春とかは決まった手話になるから、指文字で表すこっちのほうが楽だよ》
ゆっくりと動かされたその手の動きを、俺は何度も繰り返した。
「〈A〉」
『〈なに？〉』
「〈A〉」
『〈なに、？〉』
「〈A〉」
『〈なあに(笑)〉』
そんなくだらないことをするのが楽しかった。
高校時代に戻れたような気がして、嬉しかった。
すっかり冷めたコーヒーを見つめ、彼女は言った。
『〈コーヒー、苦手なんだよね〉』
驚いた。
高校時代、彼女は常にブラックコーヒーを飲んでいたから。
俺の考えている事がわかったのか、彼女は笑いながら手を動かした。
でも、難しくてわからない。
「〈...ごめん、わからない〉」
そう伝えると、彼女は笑って文字を打ってくれた。
《高校時代は母親が忙しくて、家のこととか全部私がやってたから。ブラックコーヒーで眠気覚ましてたの》
手話が、すごくスムーズだった。
《手話、上手だね》
《誰か、手話で話す人いるの？》
ほんの、興味だった。
《従兄弟が手話教室の先生で》
《居候させてもらってるから、よく使うんだ》
それって、男の人？
？...うん。そうだよ。
好きとかじゃない。
曇った心からは、目をそらした。
彼女とは連絡先を交換して、そこで別れた。
side You
会った。
佐倉くんと、会った。
聴力を失ったこと以外、何も、変わっていなかった。
クシャッとした笑顔も、
柔らかそうな髪も、
紡ぐ言葉も、
その優しさも。
彼の瞳に映るのが私だってことに、
優越感を覚えた。
そんな自分が嫌で、でも嬉しかったんだ。
ごめん、紬ちゃん。
誰かに揺らされる感覚で、目を覚ました。
「...Aちゃん、？」
記憶よりも大人びているけれど、確かに覚えている顔。
「Aちゃん、だよね？」
ごめん。
応えられないよ。
私もう、声出ないから。
「ちょ、ちょっと待ってて。もうすぐシフト終わるから」
帰ることもできた、けど。
今の私に頼れる相手なんていなくて、
誰も私のことなんて気にしてないように思えて。
だから。
光くんが私を探してくれて、
関わろうとしてくれたことが嬉しくて。
どうかしてるんだ、私。
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綺桜(プロフ) - 美桜さん» わあ！！！ありがとうございます！！！めちゃくちゃ嬉しいです...！！！がんばります！！！ (2023年4月4日 18時) (
レス) id: b46e876e49 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - silent要素もオリジナル要素もあってすごく惹き込まれます！どうか主人公が幸せになれますように…。更新楽しみにしています！ (2023年4月4日 0時) (レス) id: 5680939f49 (このIDを非表示/違反報告)
綺桜(プロフ) - 夢乃さん» めちゃくちゃ嬉しいです！！！！ありがとうございます(T_T) (2023年1月3日 12時) (レス) id: b46e876e49 (このIDを非表示/違反報告)
夢乃(プロフ) - silent関連の小説で一番好きです。これからも応援しています。 (2022年12月23日 23時) (レス) @page42 id: fed228a0da (このIDを非表示/違反報告)
綺桜(プロフ) - 和季さん» 和季様、コメントありがとうございます！すごく励みになります！この先も更新頑張っていくので、ぜひ主人公の行方を見守っていただければ！と思っております(●︎´▽︎`●︎) (2022年12月3日 1時) (レス) id: 048786881e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺桜 | 作成日時：2022年11月18日 0時
