＊ ページ3
「1週間後の××時、フットボールフロンティア優勝校にジェミニストームが襲撃を仕掛ける。優勝校といっても、彼らには太刀打ちできないだろう」
「そりゃね。あんな強化人間に普通に勝てる奴なんて、片手で数えられる程しかいないんじゃない？」
僕だってギリギリだよ、とアルカナはケラケラ笑う。
「よく言うよ。シュート3本だけでデザームを吹っ飛ばしたくせに」
「あれは彼にに頼まれて勝負しただけで、半分遊びのつもりだったんだ。まさか謹慎処分なんて、重すぎると思わないか？」
アルカナは現在、ファーストランクチーム『イプシロン』のキャプテンデザームを怪我させ、エイリア石の強化があっても1週間使えなくさせた責任で謹慎中の身。
本来ならばアルカナ自身が
「さすがの父さんでも、見逃せなかったんじゃない？」
話を戻すよ、とグランが再び口を開く。
「優勝校が負けたとなれば襲撃もしやすくなる。でも姉さんがそれを許すはずがない。必ずどこかのチームの監督として、俺たちを倒しに来るはずだ」
「そのチームに、僕はスパイとして潜り込めって？」
「ご名答。アルカナじゃなく、伊崎紅牙としてね」
伊崎紅牙は、アルカナの人間時の名前だ。皆に頼られやすく、好かれやすい。まさしく理想のチームメイトという設定の、彼が演じるキャラクター。
「一言余計だよグラン」
「冗談だよ」
持て成しに出された紅茶は既に冷めきっていて、渋くもう飲めたものではないがグランは構わず飲み続けた。
「それじゃ、さしずめ僕はエイリア学園の裏切り者ってところかな。『その考えは間違ってる。みんな目を覚まして‼︎』とか言うの？ 鳥肌立ちすぎなんだけど」
あー寒っ、とアルカナは身震いした。
「アルカナなら絶対言わないけど、伊崎紅牙なら言いそうだね」
「その伊崎紅牙に対する謎の信頼は何なの……。どっちも僕だけどさ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜 | 作成日時：2020年11月16日 23時
