【prsk】愛籠 (ページ3)

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「今幽霊居るから…外でもいい？」

なるべく静かに、本当に居るように喋る。すると信じてくれたのか二つ返事で承諾してくれた。有難い。

落ちたカバンを再び肩にかけて玄関のドアを開ける。そこにはいつものような落ち着きのある冬弥じゃなくて髪もあちこち跳ね、少し汗ばんでいる彼の姿があった。少し驚いたが私の為にここまで来てくれたのかと思うと胸が暖かくなった。

「ごめんね…えーと」

「用事は大丈夫なのか？」

え、と薄く声が漏れる。ああそう言えばそういう言い訳にしていたような気がする。それならもう出ていった体にして居留守すればよかった、馬鹿じゃん私。

「今出かけるところ」

「 …そうか」

咄嗟に出た言葉は彼に大ダメージを与えたらしく、目に見えてしょんぼりとしてしまった。こんな冬弥を見ると私まで気分が落ち込むのでこれ以上気分が下がる前にと去ろうとした。

パシリ。

待ってくれ、という冬弥の声と共に腕を掴まれた。その衝動で後ろに体が傾く。そんな私を軽々と片手で受け止めた彼は言わばバックハグのような形で私を抱き締めた。

「どうしたの」

「行かないでくれ…と言ったら迷惑だろうか」

珍しく奥手な彼に胸の奥がきゅーっと鳴った。勿論私が引き離せる訳もなく、元々なかった用事を断った、と嘘をついた。

「そうか…良かった」

そのまま流れでキスしようとした彼を慌てて止める。不服そうな顔をされたが流石に玄関の外でやるわけにはいかない。かと言って家に入れるのは無理だし…。

うんうん1人で唸っていると頬にちゅっとキスを落とされた。びっくりして顔を上げると拗ねた表情をした冬弥が目に映る。これ以上拗らす訳にもいかず、冬弥の唇に私のを重ねた。すると強い力でぎゅっとされる。地味に痛い。

「ダメだ…離したくなくなる」

離さなくていいよ、なんてぽつりと呟く。途端に冬弥の顔はこれ以上にない程輝いた。結局玄関の前だということを忘れてお互い満足出来るまで互いの体温を求め合った。

「ところで幽霊はどこに… 」

「忘れて」

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