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「っ、廉」
驚いてすぐに振り解かれそうになる手を恋人繋ぎにして固く握りしめる。
「おい、」
ええやん、そんなに嫌そうな顔せんくても。
ちょっとした嫉妬心はちょっとした意地悪に成長する。
「しょお、何買ったん？」
「、、、トップスとデニムとアウター」
不貞腐れたような声に代わるように店員さんが会話を続けた。
「プレゼントだそうですよ。
お客様に」
俺に向けられた店員さんの最高の笑顔。
手を繋いだからなのか、
それともしょおの態度を照れ隠しととったのか、
その両方なのか。
この際そんなのはどちらでもいい。
「ええ！？ほんまに？しょお、ありがとぉな」
大切なのは、俺としょおは、なんでもないただの恋人同士に見えるってこと。
諦めたのか、しょおは俺の最高の笑顔に、困ったように微笑んだ。
「お前さ、なんなの？」
店を出てから離れようとするしょおの手を再び握って、近くの小さなカフェに連れ込んだ。
「しょお、怒っとる？」
「別に、怒っては、ないけど」
上目遣いでしょおを見れば、彼の声はだんだんと弱々しくなっていった。
俺、知ってるんよ。しょおがこの顔に弱いの。
コーヒーを一口飲んだ。
「はい。これ�盒兇気鵑諒�やろ？返す」
「聞いてたのかよ」
「誕生日祝えなかったって、まだ俺と付き合ってたから？」
「、いや。まだアイツと会ってなかったから」
「え、重。こわ」
「は！？」
「会う前やろ？普通祝わんやろ」
「え、あ、どーしよ。買っちゃったじゃん！なんで止めてくれなかったんだよ」
「知るか、そんなん。まぁでも、貰ったら嬉しいんちゃう？」
「そうかな」
「、、、俺は嬉しかったよ。好きな人からのプレゼントは」
「そっか」
「おん」
しょおも一口、コーヒーを飲んだ。
「その服廉にあげる」
「、へ？」
急な話に間抜けな声が出た。
「いや、それ�盒兇気鵑離廛譽璽鵐箸笋蹇�」
あんなに幸せオーラ出しまくって選んでたやん。
恥ずかし気もなく「恋人なんです」なんて堂々と言ってたやん。
なのになんで、
「廉とあんなことして買った服、海人にあげたくない」
キーンって、耳元で変な音がした。
「あんなこと、って」
声が震えて、うまく喋れなかった。
「普通嫌でしょ？元恋人とコイビトゴッコして買った服貰うの」
しょおの目が、ちゃんと見れなかった。
「こいびと、ごっこ」
「ああでも、
あの一年もゴッコだったし、廉は慣れてるか」
続く (更新停止中)
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作者名：むぎ | 作成日時：2024年2月24日 17時
