オムライス (ページ9)

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何かがうまくいくと、他のこともうまく回るようになる。

紫耀はそれまで勤めていた会社を辞めてき『キッチン髙橋』の正式な店員となった。
今は接客とか配膳とかがメインだけど、いつか調理師免許を取りたいと思ってるらしい。

本人は俺に隠しているつもりらしいけど、紫耀の鞄からちらりと見えたそれは、俺もかつて試験勉強に読んだ本ばかりだった。

俺は店のメニューを少しずつ増やしていった。

最初は紫耀に、いろんなメニューを食べて欲しくて賄いで出していたけど、
「これ店で出したら売れると思う。俺めっちゃ好きだもん」
なんて紫耀に言われたら断るなんて選択肢はない。

紫耀の予想どうり、それらのメニューは俺らと同世代の子に受けたらしく、店は今まで以上に賑やかになっていった。

店が休みの日には2人でいろんな不動産のドアを開いてはアパートの内見巡りをしていた。
どちらかの家にそのまま同棲しようかと思ったけど、そのどちらの家も2人で住むには少し狭かったのだ。

「ねぇ、紫耀」
「うん、俺も」
「まだ何にも言ってないんだけど」
「いや、わかるよ。俺もここがいい」
「、俺も」

程なくして2人の愛の巣は見つかった。

柔らかくて甘い、俺らにぴったりの家。
これから2人で愛を育んでいくんだと、

そう、信じていた。