オムライス (ページ7)

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平野さんは仕事が終わると毎日店に来て、今度は店の仕事まで手伝ってくれた。

「海人くん、いい人雇ったねえ」
「手際もいいし明るいし優しいし、何よりすっごいイケメンだしねぇ」
常連さんは平野さんの働きっぷりを見て微笑ましい、目の保養、と笑った。テキパキしててかっこよくて、俺の彼氏最高すぎるとキッチンでつぶやけば、皿を戻しに来た平野さんにぎゅっと抱きしめられ、
「可愛すぎる」
と耳元でつぶやかれ、ああ！！もう！！

「海人ー、お腹減ったー」
「ふふ、待ってて。すぐ作るから」
店の札がcloseになると、平野さんは少し、甘くなる。
「今日は何作るの？」
「んー、生姜焼きはどう？確かお肉残ってたから。平野さん生姜焼き、好き？」
「めっちゃ好き。俺も手伝っていい？」
「まじ？ありがと」
平野さんは手際良く玉ねぎを切る。
「平野さんって料理上手だよね」
「そ？」
「ま、俺には劣るけど笑」
うわ、ダルって俺のおふざけに乗って、少し寂しそうに続けた。

「同居人が料理、ヘタだったからね」
掃除とか洗濯とかは上手なんだよ。潔癖症だったし、家帰ったらすぐ風呂入んないと気がすまないし。でも料理だけはなあ、あいつはまぁじでダメ、本当に。

苦笑しながら語る平野さんは、寂しそうで、懐かしそうで、俺の知らない平野さんだった。

「同居、してたんだ」
あからさまに声のトーンが下がった。平野さんはハタと気づいたように俺の顔を見る。
「それって、、、彼女、さん？」
「違う！違うよ。ただの幼馴染。男だし、弟みたいなもん。俺が先に上京してきて、そいつが後から、、、ごめん、泣かないで」
抱きしめられ、平野さんの肩が濡れてゆく。
「ちが、ちょっと、嫉妬しただけで、泣くつもりはなく」
必死に弁明してると耳元で、ふふっと平野さんの笑い声がした。
「嫉妬してくれたの？嬉しい」
ギュンっと体温が上がる。
「ばぁか！」
「あー、もう可愛い♡」
「平野さんのばぁーか！！」
「うん、海人可愛い」

平野さんの腕の中でいくら暴言を吐いても、可愛い可愛いと返す平野さん。あったかくて、好き。