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「もー今度は何？」
「へっへっへー」
「え、何その笑い方」
やめてよ、そんな引いた顔しないでよ。俺恋人でしょー。こら、やめなさいそんな眉間に皺よせないっ！
「俺、分かっちゃった。あの時ぶつかったの、紫耀でしょ？」
「、、、え！？」
「バレバレだよー。匂いが一緒なんだもん。俺紫耀の匂い好きだから一瞬でわかるもん。うん、絶対間違えない！」
どーだ、と言わんばかりのドヤ顔で紫耀を見ればあたふたしてて。
「あ、いや、その、、」
「もー。紫耀ってば健気なんだから！俺にバレないようサプライズしてくれてたんでしょ？かわいーんだから」
ニヤニヤすれば、紫耀も困ったように笑った。
「そ、そーなんだよ。うわー、悔しいなあ。次はもっと凝ったサプライズするから、期待してて笑」
ほら、食べよ！と、フォークで大きくケーキを頬張った。
ケーキは相変わらず美味しかった。
それから、
「紫耀。愛してる、、、」
「ん、、、俺もだよ」
2人でまた甘い、ケーキみたいな夜を過ごして。
2人で溶け合って、疲れて暖かい紫耀の胸の中で眠る時、ふと思い出したのは昼間にぶつかった人の声だった。
『いや、こちらこそすいません』
少し高めの声。でも紫耀の声は特徴的なハスキーボイス。
それに身長も。紫耀は俺より少し低いくらいだけど、あの人は俺とそんなに変わらないような気がした。
あの人の細身のシルエットと、紫耀のガッシリとした体つき。
考えれば考えるほどにおかしなところが目立ってくる。
「あの人、もしかして紫耀じゃない、、、？」
ボソリと呟く俺の声は、熟睡している紫耀の耳には届かない。
いや、でも紫耀はあの時俺だと言った。
なんで嘘つく必要があるんだろう、、、。
その日は再びうーん、と考える夜になり、考え疲れた俺は気づけば紫耀と同じ夢の中に落ちていた。
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作者名：むぎ | 作成日時：2023年5月27日 8時
