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ズゴゴーなんていう音をさせて、俺はいちごスムージーを思いっきり吸い込む。
「幸せって感じだね、海人ー」
「え、玄樹くん、そんなにわかる？」
「ふふ、わかるわかる。もうね、オーラが出てる」
今日は紫耀は用事があるらしく、俺は玄樹くんのお店に遊びに来ていた。ちなみにジンは新しいコーヒー豆の仕入れに行っているらしい。
「はい、これサービス」
「え！？いいの？」
「いいのいいの！海人が元気になった記念なんだから」
お皿に盛られた３つのケーキがキラキラ輝いていて、いつかのガトーショコラとチーズケーキを思い出し、慌てて手を合わせた。
「その節は大変お世話になりました。いただきます！」
「いえいえ。あ、感想聞かせてね。真ん中のやつ以外新作なの」
そうなの？と返しながらお皿を見れば、
あれ？
「え、でも俺真ん中のも見たことないけど、、、」
右のハロウィンに向けたパンプキンパイと、左のさつまいものタルト、真ん中は季節感ガン無視だけど1番キラキラして見えるフルーツタルト。
玄樹くんとジンが店をオープンさせて以来、ほとんどのケーキを食べてるけど、この３つのどれも見たことがない。
「あー。それはね、うちの裏メニューなの」
「裏メニュー！？俺聞いたことない！」
なんなんだ、その制度！常連の俺が知らないなんてちょっと悔しくて、目がいつもの倍は大きく開かれた。
玄樹くんは落ち着いてよと俺をコーヒー片手に嗜める。
「俺の友達1人だけの裏メニューなの。元々、その人がこんなケーキが食べたいって言ってきたんだけど。まあ見ての通り高級フルーツいっぱいすぎて予算オーバーだし、その人が来る時だけ作るようにしてたの」
「、、、でもじゃあ、その人の分食べちゃっていいの？」
「それがさー、だいたいこの季節は来るでしょと思って入荷して準備してたのに、ぜんっぜん連絡来なくて余っちゃったんだよね。ここ3ヶ月はずーっと来てないし。最後に会った時はすっごい嬉しそうな顔してたのに」
はあ。
玄樹くんのため息が空になったコーヒーカップを満たしていった。
「ごめん、こんな話。美味しいから、よかったら食べて。あ、まだあるし、彼氏さんにもってかえってもいいよ？」
「ありがたいけどいいや。彼氏さん、フルーツアレルギーなんだよね」
「じゃあ仕方ないか」
「俺だけでこの幸せを独り占めさせていただきます！」
他の２つもだけど、フルーツタルトは信じられないくらい美味しかった。
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作者名：むぎ | 作成日時：2023年5月27日 8時
