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「ほんまに帰るん？」
俺のTシャツを洗ってもらって、そろそろ帰ると、玄関で靴を履くしょおの背中に問う。
「うん。待ってるからね、アイツ」
コイツに待っているから帰るという理由にされてるアイツに嫉妬して、
「明日俺休みなんよ。買い物行かへん？2人で」
「んー。俺明日仕事なんだよね。店開けなきゃ」
「じゃあ、しょおのいい日教えて！俺、しょおと行きたいとこいっぱいあんねん。せやから」
「廉、」
靴を履き終えたらしいしょおが、俺の方に振り向いた。
「なん？」
問う声が、震えていた。
「廉は、頑張ってるから。誰よりも頑張ってる。だからさ、休みは俺となんかに使うより、自分のために使いなよ」
じゃあ、ちゃんとベッドで寝ろよ。あと、悪いけど鍵だけしといて。
返事もしてないのに、しょおは帰って行った。
リビングに戻ってソファにぽすんと腰掛ける。
ローテーブルに、
しょおが持っていた一本目の鍵が置かれていた。
なぁ、しょお。
俺しょおと行きたいとこいっぱいあるんよ。
お出かけの日が決まったら、
それまでに仕事を完璧にこなして、
いつもの倍頑張って、
しょおとの休日を満喫したいんよ。
せやから、
俺となんかとか、
そんなん言わんでよ。
まだブロックされていませんようにと願いながら、
『しょおのいい日教えて』
『2人で出かけたい』
送った後で、
しょおはこんな女々しい俺の考え、
いややったんかななんて少し思った。
既読はつかなった。
その日もまた、ベッドでは眠れなかった。
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作者名：むぎ | 作成日時：2023年5月27日 8時
