オムライス (ページ34)

今日:29 hit、昨日:15 hit、合計:107,328 hit

32 ページ34

お風呂を上がれば、部屋中いい匂いが漂っていた。

「オムライス？」

「あ、廉。ちょうど今できたとこ」

「うまそー！俺ずっと食べたかったんよ。しょおの、オムライス」

しょおのオムライスは、柔らかい。

チキンライスはトマトと一緒に炊飯器にかけたお米を炒めて作る。

卵は包むんじゃなくて、スクランブルエッグみたいにしたとろとろのオムレツを上からのせる。

周りにはしょお特製のデミグラスソースと、頑張った日のご褒美のミニハンバーグが添えられている。

収録の彼のとはまた大きく違う、俺好みのオムライス。

「部屋、片付けてくれたん？」

部屋に入った時、不思議なことにオムライスの匂いだけだった。
少しずつ捨てるようにはしてたけど、なんせ飲む量が多すぎる。常に酒の匂いが充満していた。

「カンとビンだけな。玄関にまとめてあるから、ゴミの日にちゃんと出せよ」

「ありがと」

ほら座って食べよと、スプーンが渡させる。
いただきますと一口頬張れば、しょおも俺と同じように頬張った。

それからいろんな話をした。
またダンススクールを開く為の資金集めをしていること。
お店でもっと役に立てるように資格を取る勉強をしていること。

彼のことは話さなかったけど、知らなくていいほどに満たされていた。

「なぁ、しょお」

「んー？」

「今日から帰ってくる？」

「家に帰るよ。待ってるし」

「そっか」

しょおが皿洗いをしている時だった。
俺はリビングからしょおの背中を見ていた。

「約束、覚えとる？」

水の流れる音が止まらなかった。

「覚えてないよ」

「そっか」

「うん」

「アイス食べよ。しょおも食う？」

「食べようかな。てかこの冷蔵庫中身何にもないのに冷凍庫にアイスだけはあるんだ？俺めっちゃ急いで買い出し行ったんだけど笑」

「ええやん、俺自炊せえへんし」

「岸くんから聞いたよ。廉がロクなもの食べてないって」

「2人ともデリバリーバカにしすぎやろ」

「デリバリーばっかりなのが体に悪いって言ってんの」

「オカンやん」

「そりゃ、俺も岸くんも、廉の体調第一に考えてたもん」

「オカンよりオカンやなー笑」

「俺がいた時は栄養とか気にしてたでしょ？」

「なら明日も来てよ」

「え？」

「俺、しょおの飯やったらなんでも食うもん」

「考えとく。って、廉！アイス服に垂れてんじゃん！！もー。こりゃすぐ洗わなきゃダメだな。ほら、脱いでおいで。自分で洗える？」

「しょおやってやー」

好き。