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「幼馴染って、永瀬廉のこと？」
紫耀の顔が上がって、目が大きく開かれていたのが見えた。
「なん、で」
「あのお姉さんに、似てるって言われて、調べたの。そしたら、この動画が、」
ゴトと音を立ててスマホをテーブルに置く。
紫耀の変顔した、なんの加工もされていない動画。
「SNSにも時々S君って投稿させれたし、そうなのかなって」
大きく息を吐き出して、紫耀は顔を覆った。小さな手で覆われた端正な顔。隙間から、涙が見えた。
「俺、海人にすんげえ心配させて、ホント最低なやつ」
「あのね、俺、ホントは束縛激しい愛激重人間で、そんな俺が勝手に色々調べて、妄想膨らませて、勝手に心配して。だから、紫耀は、最低なんかじゃないよ。今も、俺のこと思って泣いてくれてるんでしょ？」
紫耀の小さな手を、こぼれ落ちる涙が伝ってくる。
「紫耀は、俺のこと大好きなんだよ、愛してるんだよ。最低なんかじゃない。俺の恋人だから」
グズッと紫耀が鼻を啜って、涙を乱雑に手で拭って、
「海人、愛してる」
俺の目を見て紫耀が言っているのに、なぜか俺の視界がぼやけてて、鼻がグズグスになっちゃって、顔が涙で濡れちゃって。
紫耀が落ち着け、泣かないでって隣に座って背中を摩ってくれて、泣き止んだ頃に、再び口を開いた。
「俺の幼馴染ね、うん、永瀬廉。元々俺の前住んでたとこで一緒に生活してたの。廉が居候って感じで転がり込んできて。アイツ料理できないから不安だったんだけど、海人とこのアパート契約して。廉に家あげるから、俺出てくからって全部本当はちゃんと話すつもりだったんだ。でも、時間合わなくて、結局ラインで連絡して既読だけついて。それから海人との生活に満たされてて、正直あんまり廉のこと気にしてなくて。で、昨日、帰り道で」
アイツが、廉が、若い男の人と、ホテルから出てくるのみて。
わけわかんなくなって、流石に声は掛けなかったけど、気づいたら知らない街ふらふらしてて。
芸能とか、俺がダンスで目指したキラキラした世界に似てて、応援してたのに、なんか、裏切られた気がして。
何してんだよって。
何のために俺がっ、、、。
ああ、まただ。紫耀をそんな顔にさせる永瀬廉が憎い。俺にはそんな顔、してくれるのだろうか。
ふに
紫耀の顔を上げ、唇を重ねた。
「ねぇ、紫耀。俺だけをみててよ」
俺は、こんなに紫耀を愛してるんだよ。
次瞬きをすると、紫耀の唇が俺のと、重なっていた。
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作者名：むぎ | 作成日時：2023年5月27日 8時
