世界の旅人【原神】 (ページ31)

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30話ページ31

『しかし、天を裂く矢は、その最も幽玄な乗り物を飾る宝石
　砕き、人々は月夜の君主の姿を見ることができなかったん
　です。多くの花々は新しい主人に仕えるようになったけど、
　サウマラタ蓮のみが涼しい月光を浴びながら、あの頃の歌を思い出し
　続けていると言われているんですよ』

エルマ「随分ロマンチックな花なんだね」

『夜じゃないのが残念ですね』

エルマ「そうだねぇ、これだけの花が満開だったら、とっても綺麗なんだろうね」

『いつかお姉ちゃんと見てみたいです』

最後の三つ目を手折り、手にある他のサウマラタ蓮と重ねた

するとお姉ちゃんがいたずらっ子のような笑みを浮かべて、こちらを振り向いた

エルマ「私となんかでいいの？もしもあなたに好きな人ができたら、
　その人と見にくるといいよ」

『えっ！？そんな人、できませんよ……！』

エルマ「どうかな？人の心はいつか変わるか分からないよ？」

なんて言うのだから、動揺せずにはいられない

そんな動揺している私を見てさらに面白そうな顔をしている

エルマ「あははっ、そんな真面目になっちゃって〜、何？もうそんな人がいるの？」

『変なこと思い出さないでくださいっ！』

いつもはこんなに事細かに思い出すことはできないのに、今日のお姉ちゃんは珍しく細かなことまで覚えている

嬉しさ半分、複雑な気持ち半分だ

そして先ほどまでティナリさんと空くんとパイモンと話していた場所まで戻り、サウマラタ蓮をティナリさんに渡す

ちょうど空くんとパイモンも戻って来ていた

ﾃｨﾅﾘ「どれどれ……うん、なかなかいいね。よく選んでくれてる。
　君たちの豊富な野外探索経験のおかげで、時間を節約できた。おかげで
　ついでに他の薬草も採れそうだよ……」

空くんからもらった蓮も合わせてそれを満足げな表情で見つめていると、遠くからティナリさんを呼ぶ声が聞こえてきた

「おーい———ティナリさん！」

パ
ﾊﾟｲﾓﾝ「ティナリ、誰かがおまえを呼んでるぞ。服装からして、レンジャーみたい
　だな」

ﾃｨﾅﾘ「うん、知り合いのアミルたちだ。みんな出発したばっかりなのに、
　もう帰ってきたの……？」