1話 ページ2
私たちには三人の父親と四人の母親、そして一人の姉がいる
彼らは捨て子だった私たちを拾ってくれた恩人だ
十数年前、まだ赤子だった私たち双子は神々に一番近いという場所に捨てられた
理由は分からない
その年は飢饉だったらしいし、近隣で魔神戦争が頻発していた
飢饉によって子供に食料を回せなくなったのか、戦争によって困窮を極めたのか、あるいは双方だったのかもしれない
しかし、その村には昔から双子は忌み子だという風習と、追放という習わしがあったことが主な原因だろう
そんな私たちを見つけたのは風と自由の神バルバトスだった
彼は吟遊詩人の姿に化け、ふらふらとを散歩をしている最中に私たちを見つけたらしい
ほろ酔い気分で川岸を歩いていると、川上からどんぶらこと流れてきた私たちを見つける
小舟に乗せられていた私たちは小さく泣いていたそうだ
あまりにも私たちのの泣き声が自然だったので、あやうくそのまま見送ってしまいそうだった、とはバルバトスの言葉だった
ただ、私たちはそのまま川下に流され、滝壺に落ちることはなかった
バルバトスが救ってくれたからだ
バルバトスは大鷲に変化すると、私たちを鷲掴みにし、大空に羽ばたいた
そのまま神々が住まう場所、天空の島・セレスティアに行くと、僕を仲間に見せた
炎神は私たちの顔を覗き込みながら言う
「なんだ、人間の赤子か。俺はてっきり酒の肴かと思った」
無精ひげを撫でながら嘆く。手には酒瓶が握られている
知恵の女神マハールッカデヴァタは言う
「そんなこと言わないで?ほら見て、この可愛い赤ちゃん、まるで
マシュマロのよう」
マハールッカデヴァータは私たち二人を抱きかかえ、あやしながら微笑む
それをつまらなそうに見つめるのは岩と契約の神モラクスだった
彼はすんと真面目そうな声を漏らす
「……子供は好かん。五月蠅いし、我が儘だ」
私たちの顔を一瞥すると、すぐ視線を逸らす
三者三様の態度であるが、風の神であるバルバトスは知っていた
彼らが赤子である私たちを気に入ったことを
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作者名:ゆっきーぷ | 作成日時:2023年12月1日 18時