【HQ】鈍感少女番外編3 (ページ48)

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及川バースデー 7 ページ48

いよいよ、及川の誕生日当日となった。

今日でやっと、及川を無視する日も終わると思えば、Aはいくぶんか気持ちが楽になっていた。

今日を乗り越えれば、また及川と普通に話せるのだ。

「おっはよー！」

岩泉と外で待っていれば、及川がやってくる。

今日は終業式で、朝練はなしだった。

そのため、Aも発作を気にすることなく歩いて登校することが出来る。

及川の挨拶には、岩泉がいつものトーンで返していた。

当然、Aは返さない。

しかし、いつもならそれで終わるはずの会話が、今日はなぜか終わらなかった。

「今日なんの日か知ってるー？」

及川の誕生日、とは言えない。

それなのに、及川はその質問をしてはAの反応を見ているようだ。

Aは目を逸らしていた。

目を合わせると、口を滑らせてしまいそうだったからだ。

そうなれば、昨日までの努力が全て水の泡になってしまう。

それだけは、なんとしてでも避けたかった。

しかし、及川も今日という今日は引き下がらないらしい。

Aが何か反応を見せるまで、歩こうとはしなかった。

沈黙だけがひたすら続いた。

何か言うしかないのか、と口を開きかけた時だった。

「今日は終業式だろうが。ほら、行くぞ」

岩泉が助け舟を出し、そのまま及川が何か言う前に背中を押して歩かせたのだった。

Aは岩泉に感謝をしつつ、その後ろに続いて及川の突然の振りに警戒しながら歩き始めた。