【HQ】鈍感少女番外編3 (ページ41)

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勉強を教える 10 ページ41

その後も、英語の長文読解や数学の証明でも、Aは度々躓いていた。

国見が言っていた通り、Aに出来るのは解説を読むことだけ。

それ以上に分かりやすい教え方は、専門外だった。

何せ、Aも勉強が得意なわけではないのだから。

それでも、なんとか3人で力を合わせて勉強を続けること約2時間。

今は、日向と影山が、今日勉強した場所のまとめ小テストをやっていた。

制限時間は15分。

小テストにしては短いが、出てくる問題はほとんどが暗記系で、最後に簡単な文章を書く問題がついているくらいである。

「出来た！」

「よし……！」

2人同時にペンを置くと、すぐさま睨み合いが始まる。

「俺の方が早く終わったし」

「あ？俺の方が早く終わった」

どちらがどうというよりも、回答がどれくらい合っているかが問題なのだが、単細胞の2人はそれよりも目に見えるスピードの方が気になるらしい。

「なあなあ、若葉さんはどっちが早かったと思う？」

「お前、何言って……」

影山の声が不意に止まる。

振り返った先では、Aが教科書を枕にして寝息を立てていた。

思えば、部活が終わってからずっと、慣れない勉強を付きっきりで教えてくれたのだ。

いつ電池が切れても、不思議ではなかった。

それを見た2人は、静かに顔を見合せる。

「……やっぱり、月島に教えてもらおうぜ」

「……まあ、無理させるよりはいいか」

影山の眉間には依然として皺が刻まれていたが、2人とも疲れている身体を押して教えてもらおうとするほど、自分勝手ではない。

珍しく2人の意見が一致したのだった。