【HQ】鈍感少女番外編3 (ページ22)

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岩泉バースデー 1 ページ22

「頼む！」

「……えーっと」

目の前には、手を合わせて頭を下げる花巻さん。

困って思わず松川さんに目で助けを求めると、ふいっと視線を逸らされた。

は、薄情者ー！

HRが終わって、ゾロゾロと人が動き出す時間。

わざわざ私の教室まで来た花巻さんと松川さんに、話があるから隣の空き教室に来て欲しいと言われた。

もうその時点で、既にクラスメイト全員大注目。

告白だなんだと言われる始末。

おかげで、女子の何人かからは痛い視線を貰う羽目になった。

もっとちゃんとよく見てほしい。

花巻さん1人ならともかく、松川さんもいるんだから、告白なわけないのに。

異性の先輩に声をかけられたからって、すぐに恋愛に走るの本当によくないと思う。

なんてことは、クラスメイトには言えず……。

そんなこと言ったら、修羅場になってしまう。

黙って空き教室に入るや否や、突然花巻さんに頭を下げられたのである。

「岩泉の誕生日の企画、手伝ってくんね？」

一生のお願いなみのテンションで頼んでくる花巻さん。

そんなことをしなくても、ハジメの誕生日はもとから祝うつもりだった。

むしろ、私が頼む場面だったはずなのに。

なぜか、断られる前提で頼まれているみたいだ。

ハジメのことを1番祝いたいのは私なんだから、断ることなんて絶対に有り得ない。

って、花巻さんと松川さんなら分かってると思ったんだけど。